福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話
北風と太陽
北風と太陽が、どちらが強いかでいいあらそっていました。
議論ばかりしていてもきまらないので、それでは力だめしをして、旅人の着物をぬがせたほうが勝ちときめよう、ということになりました。
北風が、はじめにやりました。
北風は思いきり強く、
「ビューッ!」
と、吹きつけました。
旅人はふるえあがって、着物をしっかり押さえました。
そこで北風は、いちだんと力を入れて、
「ビュビューッ!」
と、吹きつけました。
すると旅人は、
「うーっ、さむい。これはたまらん。もう1まい着よう」
と、いままで着ていた着物の上に、もう1まいかさねて着てしまいました。
北風はがっかりして、
「きみにまかせるよ」
と、太陽にいいました。
太陽はまずはじめに、ポカポカとあたたかくてらしました。
そして、旅人がさっき1まいよけいに着た上着をぬぐのを見ると、こんどはもっと暑い、強い日ざしをおくりました。
ジリジリと照りつける暑さに、旅人はたまらなくなって、着物をぜんぶぬぎすてると、近くの川へ水あびにいきました。
人に何かをしてもらうには、北風のように、無理やりではうまくいきません。
太陽のように、相手の気持ちになって考えれば、無理をしなくても人はちゃんと動いてくれます。
おしまい
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