| 福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話
 
 
  
 ネコとニワトリ
   ネコが、ニワトリをつかまえました。いつもなら、すぐ食べてしまうのですが、今日はひとつえらそうなりくつをつけてから、食べようと思いました。
 そこで、
 「おい、ニワトリ、おまえは悪いやつだ。朝のくらいうちから大きな声でないて、人間たちのねむりをさまたげるのだからな」
 と、いいました。
 するとニワトリは、
 「そんなことはありません。はんたいに、わたしは人間の役に立っているのですよ。ねぼうして仕事におくれないように、おこしてあげているのですから」
 いいやられたネコは、別のりくつを考えて、
 「おまえは、自分の母親や女兄弟にタマゴをうませるような、けしからんやつだ」
 と、いいました。
 ニワトリは、
 「それだって、ご主人のためなのです。そのおかげで、タマゴがたくさんとれるんですもの」
 ネコは、またやりこめられました。
 しばらく考えましたが、よい考えがうかばないので、いきなりどなりました。
 「やいやい、えらそうなことばかりいってもダメだぞ。おまえがいくらもったいつけても、おれは腹ぺこなんだから」
 そして、ニワトリを食べてしまいました。
 
 悪い人が悪だくみを思いついたら、たとえ、はじめはりこうそうなことをいっていても、さいごには正体をあらわして、平気で悪いことをするようになるものだと、このお話しはおしえています。
 おしまい    
 
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