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第1話
オオカミとロバ
オオカミたちのかしらにえらばれたオオカミが、法律をさだめました。
それは、
「これからは、めいめいがとったえものは、ぜんぶいっしょにして、みんなに平等にわけることにする。これは、腹のへったオオカミどうしが、とも食いするようなことをなくすためである」
と、いう法律でした。
ところがこれを聞いたロバが、たてがみをふりふりすすみ出て、
「なるほど、りっぱな考えです。あなたが心のやさしいオオカミだからこそ、そんなよい考えがうかんだのでしょう。ただ、そのあなたが、きのうとったえものを自分の穴ぐらにしまいこんでいるのは、どうしたわけですか? あれをはやくここへ持ってきて、みんなにわけてあげなさいよ」
やりこめられたオオカミは、法律を廃止してしまいました。
正義にもとづいて法律をさだめるような顔をしながら、自分はちっともその法律をまもらない人がたくさんいます。
おしまい
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