福娘童話集 きょうの世界の名作・昔話
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1月15日の世界の昔話

魔法のあみぼう

魔法のあみ棒
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 むかしむかし、あるところに、ミリダという、青い目とあまいろのおさげ髪をもった娘がいました。
 ミリダが十六才になった年のこと、七人の強盗(ごうとう)がおそってきて、お父さんとお母さんは殺されて家を焼かれてしまいました。
 びんぼうな、みなし子となったミリダは、ある店の女中(じょちゅう)にやとわれました。
 どんな寒い日でも、はくクツ下がありません。
 たべるものと言えば、1日に、ほんの少しのパンの耳と、スープひと皿だけでした。
 ですからミリダは、いつも寒くひもじい思いをしていました。
 けれどもミリダには、ヤロミールというなかよしの若者がいましたからしあわせでした。
 ある日のこと、主人の店に毛糸のきものをきた、まりのようにまん丸いおばあさんがきて、
「食べ物をめぐんでくだされ」
と、たのみました
「こじきに食わせる物などない」
と、けちんぼうな主人は、おばあさんをおいだしました。
 かわいそうに思ったミリダは、おばあさんにそっと、じぶんの一日ぶんのパンの耳をあげました。
 するとおばあさんは、ニッコリわらっていいました。
「ミリダや、ありかとう。お礼にいくらつかってもへらない毛糸の玉と、魔法のあみ棒をあげよう。これは、命令ひとつで一本のあみ棒が七本になって、一人でにあみはじめるのだよ。おまけにおまえが命令すれば、だれの手の中にでもとびこんで、あみものをさせるのさ。そしておまえがやめろというまで、クツ下をあみつづけて、じぶんのしたことを白状してしまうのだよ」
 ミリダは大よろこびであみ棒と毛糸の玉をもらって、お礼をいおうとしたときには、もうおばあさんの姿はきえていました。
 夜になるのをまちかねて、ミリダは屋根うらのじぶんの部屋へもどると、あみ棒に、
「ネッカチーフと、手袋と、クツ下と、チョッキと、スカートをあんでちょうだい」
と、いいました。
 するとどうでしょう。
 あみ棒は一人でに動き出し、夜があけるまでにはなにもかもあみ上がっていました。
 これでもう、ミリダはさむいおもいをすることもありません。
 ミリダはまいばん、あみ棒にクツ下をあませ、近所のびんぼうな子どもたちにあげました。
 さてあるとき、ミリダはたきぎをひろいに森へでかけると、とつぜん森のおくから強盗のかしらがあらわれました。
 ミリダのお父さんやお母さんを殺した強盗です。
 強盗は、ミリダに結婚を申し込みました。
「おれとくらせば、きれいな着物も宝石もやる。一日中あそんでくらせるぞ」
「とんでもない。だれがあなたの奥さんになるものですか!」
 強盗はミリダの言葉に大笑いすると。
「気の強い娘だ。ますます気に入った。ひと月たったらむかえにいくからな」
と、いうと、いってしまいました。
 一週間すぎ、二週間すぎ、たちまちひと月たちました。
 すると、店の戸をあけて、強盗のかしらがはいってきました。
 かしらは、店の主人にいいました。
「おまえのところの女中を、花よめにもらいにきた」
 主人はふるえながらこたえました。
「ミリダさえ承知なら、よろこんで手ばなしましょう」
 すると、ミリダがいいました。
「承知しました。でもおねがいがあります。わたしの家の焼けあとに、三日間で新しい家をたててください。それから結婚式には、村じゅうの人をよんでください」
 ミリダの結婚のことをしって、恋人のヤロミールはたいそう悲しみました。
 けれどもミリダは、ヤロミールをなだめていいました。
「心配しないで。結婚のお祝いにはかならずきてちょうだいね。いい考えがあるのよ」
 かしらのほうは、村じゅうの大工(だいく)をよびあつめ、やくそくした三日間で新しい家をたてました。
 家具もすっかりそろえ、家畜小屋にはウシやヤギをいれました。
 家の前に、いくつもテーブルをならべ、ごちそうとお酒を山のように用意しました。
 村じゅうの人が、結婚式によばれました。
 ヤロミールもきました。
 ミリダは花よめ衣装をきて、花むこのかしらとならびました。
 まわりに六人の手下がすわりました。
 かしらは機嫌よく、カラカラとわらっていいました。
「さあ花よめさん、お祝いだ」
 そのときミリダは、魔法の毛糸の玉とあみ棒をだして、早口でささやきました。
「あみ棒よ、七本におなり!」
 あみ棒はキラキラ光りながら、音をたてて七本にふえました。
「強盗たちの手にとびこんでクツ下をおあみ!」
 あみ棒はいっせいに強盗たちの手にとびこんで、クツ下をあみはじめました。
 強盗がやめてほうりだそうとしても、あみ棒は手にすいついてはなれません。
 ミリダは、つづけていいました。
「あみものをしながら、なにもかも白状しておしまい!」
 かしらと六人の強盗たちは、ミリダの両親をころして家を焼きはらったこと、ヤロミールの財産をうばったことなどを、ペラペラ話しだしました。
 お客たちはあっけにとられて、あみものをしている強盗たちをみつめました。
 そのとき、毛糸の玉がくるくるとゆれて、中からあのおばあさんがあらわれました。
 おばあさんは、あみものの妖精(ようせい)だったのです。
 おばあさんがいいました。
「村の人たちよ。強盗どもの白状をよくきいたね。それでいかがかな、ミリダとヤロミールが結婚して、この家にすむというのは?」
「いいとも、いいとも!」
 村の人たちは、声をそろえてさけびました。
 さっそく、ミリダとヤロミールは結婚式をあげました。
 そのあいだも強盗たちは、あんで、あんで、あみつつげました。
 おばあさんは、いいました。
「おまえたちは、おまえたちが悪いことをした人たち全員のクツ下をあみおわるまで、そのままだよ」
 そして強盗たちは、何日も何日もあみつづました。
 そしてようやくあみおえたときには、悪いことをすることなどすっかりわすれて、腕の良いあみもの職人として、村の人たちと平和にくらしました。

おしまい

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