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福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうの世界昔話
ヒツジ飼いの少年
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むかしむかし、とてもかしこいヒツジ飼いの少年がいました。
そのことが王さまの耳に入り、王さまはその少年をお城によびつけると、こういいました。
「わしがおまえに三つの問(と)いをだす。これにうまくこたえることができたら、わしはおまえをわが子と思って、わしの城においてやるぞ」
すると少年がいいました。
「その三つの問いというのはなんですか?」
王さまがいいました。
「海のなかには水が何てきあるかな?」
「王さま、地球の上の川をのこらずせきとめてください。そしたら、海の水が何てきあるのか数えましょう」
こう少年はこたえました。
そこで王さまはいいました。
「なかなかやるな。では、つぎの間いじゃ。空には星がいくつあるかの?」
すると、ヒツジ飼いの少年は、
「どうか、大きな紙とペンをください」
と、いって、用意された大きな紙の上ヘ、ペンで一面に小さな点をうちました。
「できました。空には、ちょうどこの紙の上の点とおなじ数だけの星があります。さあ、かぞえてみてください」
まるで見えないくらいの小さい点で、だれにも数えることができません。
「では三番目の問いはこうじゃ、永遠というものは、何秒だ?」
するとヒツジ飼いの少年がいいました。
「ポンメルンにダイヤモンドの山があります。この山は高さが一里(→やく四キロ)、はばが一里、奥行きが一里あります。このお山へ百年目ごとに一羽の小鳥がやってきて、くちばしをお山でみがくのでございます。こうやって小鳥がきてはみがくために、このお山がのこらずすりへってなくなったときに、永遠の第一秒がたつのでございます」
それを聞いた王さまは、ヒツジ飼いの少年にいいました。
「おまえはこれからは、このお城でわしといっしょにくらすがよい。わしはおまえを、じぶんの子どものつもりでみてやるからな」
おしまい
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