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  イラスト myi   ブログ sorairoiro
 
 メンドリ小麦粒
 イギリスの昔話 → イギリスの国情報
  むかしむかし、あるところに、一羽のメンドリがいました。「ごちそうだよ。みんなおいで」
 メンドリはいつも庭をつっついて、エサを見つけてはヒヨコたちに食べさせていました。
 
 ある日、メンドリは小麦粒が落ちているのを見つけました。
 
  「これをまくと、たくさん小麦ができるのよ。ふやしてから食べましょう」メンドリは、大きな声で言いました。
 「小麦のタネをまくの。誰か、手伝ってちょうだい」
 
          でも、池で遊んでいたアヒルは、「ごめんよ、わたしはいそがしいんだから」
 と、ことわりました。
 ブタは、眠そうに目を開けましたが、
 「あー、あー、あー」
 あくびをしただけで、知らぬ顔です。
 ひなたぼっこのネコも、首を振って。
 「いま、用があるのよ」
 誰も手伝ってくれないので、メンドリは一人で小麦のタネをまきました。
 
   やがて小麦が、たくさん実りました。そこでメンドリは、みんなを呼びました。
 「小麦を、かり取るの。誰か、手伝ってちょうだい」
 
          するとアヒルは、「いま、泳ぎをならっているところ」
 と、言いました。
 ブタは、
 「ぼく、今はごちそうを食べているので、いけないの」
 ネコは、
 「わたし、毛皮をみがいているの。だめよ」
 しかたなくメンドリは、1人でせっせと小麦をかり取り、粉屋さんに持って行きました。
 
   間もなくメンドリは、まっ白になった粉の袋をかついで帰ってきました。そして、大声で言いました。
 「おいしいパンを焼くのよ。誰か、手伝ってちょうだい」
 
   すると、アヒルは、「そんなめんどうな事は、大きらい」
 ブタは、
 「そんなしんどい事は、大きらい」
 ネコは、
 「そんなじゃまくさい事は、大きらい」
 誰も、手伝ってくれません。
 しかたなくメンドリは、1人でパンを焼きました。
 
   とってもいい香りのパンが、焼き上がりました。「さあ、子どもたち。パンを食べましょう」
 メンドリとヒヨコたちがパンを食べ始めますと、みんなが集まってきました。
 
   アヒルが、「おいしそうね。そのパンを、わたしにもくださいな」
 ブタが、
 「うまそうだな。そのパンを、ぼくにもくださいな」
 ネコが、
 「いい香りね。そのパンを、わたしにもくださいな」
 すると、メンドリが言いました。
 「いいですよ。このパンを作るのを手伝ってくれた人から、順番にあげます。さあ、誰が最初に手伝ってくれましたか?」
 
   それを聞いて、アヒルもブタもネコも、恥ずかしそうに帰って行きました。 おしまい    
 
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