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ゾウとヤギの大食い勝負

ゾウとヤギの大食い勝負
イランの昔話イランの情報

♪音声配信(html5)
朗読者 : おはなしや

 むかしむかし、ゾウとヤギが、どっちがたくさん食べられるかと言い合いをしました。
「おれは体が大きいから、お前の百倍は食べれる。ぞう」
「とんでもない。ぼくは体が小さくても、一日中口を動かしていられるんだ。メエー」
 そこで二匹はどちらが大食いか、王さまのライオンに決めてもらうことにしました。
 ライオンは、ゾウとヤギを原っぱへ連れて行くと言いました。
「さあ、食べられるだけ食べてみろ。たくさん食べた方は人間のところへ行かせてやるが、負けた方はわしが食べてやる」
 ゾウは大きな木を倒して、葉っぱをばりばりと食べはじめました。
 でもヤギは、草の先をかじっているだけです。
(ふん、えらそうな事を言っても、ヤギは草の先しか食べられない。おれが勝ったようなものだぞう)
 ゾウは大きな木の葉っぱを全部食べてしまうと、ゴロリと横になって一休みをしました。
(よし、これでおれの勝ちだろう。もし負けそうになっても、もう一本食べてやる。・・・おや、あいつは何をしているんだ?)
 ゾウがヤギを見ると、ヤギは草のない岩の上で口をもぐもぐ動かしています。
「おいおい、そんなところに草なんかないぞ。お前は何を食べているんだぞう」
 すると、ヤギが言いました。
「なあに、岩をかじっているのさ。すっかり草を食べたのに、まだお腹が一杯にならないからね。そしてこの岩を食べたら、今度はお前さんを食べてやるからね。メエー」
 それを聞いて、ゾウは飛び上がりました。
 ぐずぐずしていたら、自分まで食べられてしまいます。
「わあー! 助けてくれー!」
 ゾウはあわてて、森の中へ逃げていきました。
 それを見て、ライオンが言いました。
「よし、ヤギは人間のところへ行け。ゾウはわしが、食べてやる」

 その時からヤギは人間に飼われるようになり、ゾウはライオンに追いかけられながら森の中をうろつくようになったのです。

おしまい

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