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8月22日の世界の昔話

カメの遠足

カメの遠足
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 むかしむかし、あるところに、カメの一家がすんでいました。
 お父さんガメと、お母さんガメと、男の子のカメの三匹です。
 今日は青い空に白い雲がポッカリとうかんでいる、とてもあたたかい日でした。
「こんなにいいお天気だから、あそこに見える丘の上までピクニックにいかないか?」
 お父さんガメがいうと、
「まあ、それはすてきね」
と、お母さんガメも賛成です。
「うれしいなあっ。いこう、いこう」
と、子ガメは大喜びです。
 そこでお母さんガメは、ピクニックのお弁当のしたくを始めました。
 ツナのかんづめ、シチューのかんづめ、ミカンのかんづめ、モモのかんづめ、それからお母さんの手づくりのサンドイッチです。
「おいしそうだな。はやくむこうについて食ベたいね」
 子ガメは、ワクワクしてきました。
 三匹は、ごちそうをバスケットにつめこんで出発しました。
 でもカメは足がおそいので、ノロノロ、ノロノロ歩きます。
 がんばって、がんばって歩きましたが、一年半たった時、まだやっと道の半分しかきていませんでした。
 それからまたがんばって、がんばって歩いて、三年目に、ようやく丘の上につきました。
「やれやれ、やっと着いた」
「ぼく、おなかがペコペコだよ」
「さあ、食べましょう」
 お母さんガメは、かんづめとサンドイッチを草の上に出しました。
 それから、バスケットの中をゴソゴソとさがします。
 そして、
「あら、ないわ」
 お母さんガメは、バスケットをさかさにしてふりました。
「まあ、どうしましょう? かんきりを家にわすれてきたわ」
「ええっ・・・」
「ええっ・・・」
 三匹は、顔を見あわせました。
 かんきりがなくては、かんづめを開けられません。
 しばらくして、お父さんガメがいいました。
「ぼうや。家へ帰って、かんきりを持ってきておくれ」
「ええっ! ぼくが?」
「お願いよ、ぼうや。そのかわり、お前がここにもどってくるまで、なんにも食べないで待っているから」
 お父さんガメと、お母さんガメに頼まれて、子ガメはノロノロと近くのやぶの中に入っていきました。
 お父さんガメと、お母さんガメは、子ガメを待ちました。
 待って、待って、一年がたちました。
 もう、お母さんガメはおなかが空いてしかたがありません。
「サンドイッチを少しだけなら、ねえ、いいでしょう?」
 お父さんガメは、首を横にふりました。
「いいや、だめだ。あの子が帰ってくるまで、がまんしよう」
 また、待って、待って二年がすぎました。
 もう、お父さんガメと、お母さんガメはフラフラです。
 お父さんガメがいいました。
「どうだろう。サンドイッチのはしっこを、ほんのひとかけらだけ食ベようか?」
 今度は、お母さんガメが反対しました。
「いいえ、お父さん。あの子と約束したんですから、帰ってくるまで待ちましょうよ」
 そこで二匹のカメは、こうらの中に首をひっこめて、ジッと、だまりこみました。
 待って、待って、待って、待って、とうとう六年がたちました。
「もう、わたし死にそうですよ」
「うん、そうだな。行きに三年、帰りに三年。あいつもそろそろ帰ってくるだろう。少し食べはじめるか」
 二匹のカメはつつみを開けて、サンドイッチをとり出しました。
 そして口に入れようとした、その時です。
 近くのやぶの中から、子ガメが出てきてさけびました。
「あっ! 約束をやぶるの? ずるいなあ。やっぱりぼく、ずーっと、ここにかくれて見はっていてよかったよ」
 カメの一家は、いつになったらお弁当を食べられるのでしょうね。

おしまい

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