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11月21日の世界の昔話
  
  
  
  ほらふき男爵 クマと火うち石
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 わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
 みんなからは「ほらふき男爵」とよばれておる。
 これは、大グマをしとめた時の話じゃ。
 わがはいがポーランドのある森の中へかりに行った帰り道、すっかり日がくれてしまい、鉄砲の玉も一発ものこっていない時に、大グマが大口をあけてとびかかってきたのじゃ。
 せめて一発でもと、鉄砲の玉をさがしたがむだじゃった。
 だが、手にさわったのは、いざという時のためにもってきた二つの火うち石。
 わがはいは、その一つをむちゅうで、大きくあけたクマの口になげこんだんのじゃ。
 火打ち石を口にほうりこまれて、クマは気持ちがわるくなったのか、回れ右をしてにげだしていきおった。
 その時すかさず、わがはいはのこった火うち石をクマのおしりのあなになげこんだ。
 これが、じつにうまくいった。
 クマのおしりから入った火うち石が、さっき口から入った火うち石とぶつかってな。
 カチン!
  と、いう音がクマのおなかの中から聞こえたかと思うと、クマは黒こげになってたおれよった。
 その日のえものは、クマの丸焼きというわけじゃ。
 では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい