福娘童話集 きょうのイソップ童話
福娘童話集 > きょうのイソップ童話 > 7月のイソップ童話 > お百姓と木

7月19日のイソップ童話

お百姓と木

お百姓と木

 あるお百姓(ひゃくしょう)の畑に、一本の木がはえていました。
 この木は、すこしも実がならない木で、ただ、うるさくさえずるスズメや、やかましいセミたちの宿になっているだけでした。
「こんな木はなんの役にもたたない。切りたおしてしまおう」
と、お百姓はオノを持ってきて、
「ガーン」
と、切りつけました。
 すると、セミたちとスズメたちは、
「お願いです。この木を切りたおさないで下さい。ぼくたちのお宿なのですから。どうか、このままにしておいて下さい。ぼくたちがここで歌を歌えば、あなただって楽しいでしょう」
 しかしお百姓は、セミやスズメの願いなどおかまいなしに、またオノをふりあげて、
「ガーン」
 もういちど、
「ガーン」
と、切りつけました。
 ところが、木の幹のさけたところを見ますと、そこにはミツバチの巣があって、ハチミツがたっぷりたくわえられていました。
 お百姓はニッコリわらうと、そのハチミツをおいしそうになめました。
 そしてオノを放り出して、それからというものは、この木を大切にしました。

 こんなふうに、自分には興味のないことでも、それが自分の得になると分ると、すぐに考えをかえる人がいます。

おしまい

366日への旅 トップへ移動

今日は何の日へ移動 今日の誕生花へ移動 今日の誕生日へ移動
福娘童話集 きょうの世界昔話  福娘童話集 きょうの日本昔話へ移動 きょうの小話へ移動

トップページへ移動   このページを閉じる   ホームへ移動