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8月19日の日本の昔話

刀のごちそう

刀のごちそう

 むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん→詳細)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
 以前、一休さんに「びょうぶのトラ」でとんち勝負をして、みごとに負けたあの殿さまが、また、一休さんをお城にまねきました。
「一休よ。よく来てくれたな」
「はい。およびとあれば、何度でも。して、今日はどのような問題ですか?」
 一休さんが聞くと、殿さまは笑いながらいいました。
「アハハハハハッ。用心しておるな。だが安心せい。今日は、そなたにごちそうしてやろうと呼んだだけじゃ」
 そう言って、殿さまは一休さんに、たいへんなごちそうを出しました。
「それ、えんりょせずに、好きなだけ食べるといい」
 殿さまの言葉に、一休さんはお寺では食べてはいけないことになっている、肉や魚も、なんでもパクパクと食べました。
 それをみた殿さまが、
「よく、なんでもとおるのどだ」
と、かんしんしていると、一休さんがこたえました。
「はい、わたしののどにとおらないものはありません。言うなれば、東海道(とうかいどう→江戸から京都へつながる大きな道)のようなものです」
「よし!」
 殿さまは、その答えを待っていたようです。
 殿さまは刀をぬくと、こわい顔でかおで一休さんに差し出しました。
「では、この刀をのめ。なんでもとおるといったのだ。これがとおらんとはいわせぬぞ!」
「はい。わかりました」
 一休さんは、刀を受け取ると、急にコンコンとせきこみました。
 やがてせきがおさまると、殿さまに言いました。
「たったいま、せきがとまりました。せきも関所(せきしょ)もおなじことで、いったんとまりますと、何ものも通してはくれません。どうぞ、あしからず」
「むっ! さすがは一休。今回もよの負けじゃ」
 殿さまは一休さんのとんちに感心して、またもやたくさんのほうびをあたえました。

おしまい

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