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10月21日の日本の昔話
ムカデの医者むかえ
むかしむかし、とても仲良しの虫たちが、一軒の家にいっしょに住んでいました。
ある日のこと、カブトムシが急に苦しみ出しました。
「どうした、カブトムシどん」
「おなかがいたい、いたいよう」
「何か悪い物でも食べたかね」
虫たちは心配そうに、カブトムシの周りに集まりました。
「とにかく、医者を呼んで来ないと」
「だれが一番、足が速いんじゃ」
すると、年取ったカナブンがいいました。
「そりゃあ、ムカデ君だろう。なんといっても、足が百本もあるんだから」
「よし分かった。ぼくにまかせろ!」
ムカデは、すぐにげんかんに向かいました。
それからしばらくしましたが、ムカデ君はなかなか帰ってきません。
「おそいなあ、どうしたんだろう」
「だれか、ようすを見て来いよ」
そこで、バッタ君とカミキリムシ君がようすを見に行くことになりました。
2匹がげんかんにいくと、ちょうどムカデ君が、わらじ(→詳細)をぬいでいるところでした。
「やっと帰ってきたんだね、ムカデ君」
するとムカデ君は、首を横に振りながらいいました。
「ちがうよ、ぼくの足は百本あるから、わらじをはくのに時間がかかるんだ。まだ、半分しかはいていないんだ」
おしまい