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10月8日の小話
さけなめおや子
たいそうけちな、おやじさんがいました。
たまには、おさけもかいますが、そののみかたがかわっていました。
さかずきでのんだら、すぐに、なくなってしまいますから、とっくりに、おはしをつっこんで、おはしについたおさけを、なめるのです。
これではさけのみじゃなくて、さけなめです。
せがれも、おやじさんのさけなめをまねて、おはしで、ちびちびなめていましたが、あるとき、ふたはしつづけてなめると、おやじさんがおこりました。
「こらっ! さけは、ひとはしづつ、あじわってなめろ。一気になめては、もったいないだろう!」
まったく、けちですね。
おしまい