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 打ち出の小づち
 高知県の民話 → 高知県情報
  むかしむかし、ある村に、ひどいなまけ者がいました。おかみさんがガミガミ言っても、仕事をしないで遊んでばかりいます。
 「さて、今日は大黒(だいこく)さまのお祭りでも見物にいくか」
 ある日、なまけ者はおかみさんに何も言わずに、出かけていきました。
 なまけ者は、大黒さまにお参りをして、
 「大黒さま、どうぞわたしをお金持ちにしてください」
 と、おがみました。
 すると、大黒さまが現れて、
 「なまけ者でも、わしのところにお参りにくるとは感心。お前にこれをやろう。これをふれば、なんでも欲しい物が出てくる」
 と、言って、一寸法師で有名な、打ち出の小づちをくれたのです。
 なまけ者は大喜びで、家に帰りました。
 その途中で、ぞうりのひもが切れたので、なまけ者はためしに打ち出の小づちをふってみました。
 「ぞうりよ、ぞうり」
 すると、どうでしょう。
 ぞうり売りがやってきて、ぞうりをただでくれたのです。
 「これは、いい物をもらったぞ」
 なまけ者は新しいぞうりにはきかえると、大いばりで帰ってきました。
 ところがおかみさんは、なまけ者の顔を見るなり言いました。
 「米を買うお金もないというのに、どこを遊びまわっていたんだい!」
 「大黒さまへ、お参りにいってきたんだ」
 「なんだって! 大黒さまが、あんたのいうことをきいてくれるもんか!」
 どなるおかみさんに、なまけ者は打ち出の小づちを見せて言いました。
 「ほら、これが大黒さまにいただいた打ち出の小づちだ。ほしいものは何でも出るぞ」
 「お金もないくせに、こんなおもちゃなんか買ってきて。このろくでなし!」
 おかみさんは、男をなぐりつけました。
 これにはさすがの男も、とうとう腹を立てて、
 「やかましい! この鼻くそめが!」
 と、言いながら、打ち出の小づちでおかみさんをたたいたのです。
 するとどうでしょう。
 おかみさんはたちまち、大きな鼻くそになってましいました。
 おしまい    
 
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