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7月21日の日本民話
  
  
  
  サルの尻はなぜ赤い
  佐賀県の民話 → 佐賀県情報
 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがすんでいました。
   おじいさんは毎日、山の畑をたがやしに行きます。
   ある日の事、おじいさんがいつものように畑をたがやしていると、側にあった石にサルが一匹腰かけて、
  「あのじじいの畑をたがやす姿は、左にヨロヨロ、右にヨロヨロ」
  と、悪口を言うので、おじいさんは腹を立てて、
  「このサルめ!」
  と、クワをふりあげて追いかけましたが、サルは素早くて、ぜんぜんつかまりません。
   次の日も、おじいさんが畑をたがやしていたら、昨日のサルがまたやってきて、 
  「あのじじいの畑をたがやす姿は、左にヨロヨロ、右にヨロヨロ」
  と、また悪口を言うのです。 
   怒ったおじいさんは、またサルを追いかけましたが、今日も逃げられてしまいました。
   家に帰っても腹の虫がおさまらないおじいさんは、その事をおばあさんに話しました。
   するとおばあさんは、
  「それなら、サルのすわる石に、モチをベッタリとぬり付けたらいいよ」
  と、言ったので、次の日、おじいさんは朝早く畑へ行って、石にモチをベッタリとぬり付けました。
   さて、やがてあのサルがやって来て、その石に腰をかけました。
   そしていつものように悪口を言うので、おじいさんがクワをふりあげると、サルは逃げようとしましたが、お尻にモチがベッタリとくっついているので、逃げようにも逃げられません。
   そこでとうとうおじいさんにつかまって、家に連れて行かれました。
   家に帰ったおじいさんがおばあさんに、
  「おばあさん、おばあさん、このサルは味噌汁(みそしる)にするとうまいから、味噌汁を作ってくれ。それからもちもついてくれ」
  と、言って、また畑仕事に出かけました。
   おばあさんは、おじいさんに言われたように味噌汁を作り、もちをつき始めましたが、それを見ていたサルが、
  「おばあさん、おばあさん、年寄りにはもちつきは大変だろうから、おれがかわりについてやる。だからこのなわをほどいてくれ」
  と、いったのです。
  「そりゃ、助かるよ」
   おばあさんがサルのなわをほどいてやると、サルはおばあさんにおそいかかって、おばあさんを殺してしまったのです。
   そして殺したおばあさんで味噌汁を作ると、自分はおばあさんになりすましました。
   やがておじいさんが帰って来たので、
  「サルの味噌汁が出来ました。早よう食べてください」
  と、おじいさんに味噌汁を出しました。
  「どれどれ、これはいいにおいじゃ」
   おじいさんが味噌汁を食べようと味噌汁を見てみると、中から髪飾(かみかざ)りが出てきました。
   これはおじいさんがおばあさんにあげた、おばあさんの髪飾りです。
   ふと、おばあさんを見てみてると、お尻から尻尾(しっぽ)が生えています。
  「このサルめ、よくもおばあさんを殺したな!」
   正体のばれたサルは急いで逃げ出すと、そばにあったカキの木に登っていきました。
   それを追いかけてきたおじいさんが、持ってきた大きなハサミでサルのお尻に切りつけたのです。
   サルの尻は血でまっ赤になりました。
 それからです、サルのお尻がまっ赤になったのは。
おしまい