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 サルとカメ
 インドネシアの昔話 → インドネシアの国情報
  むかしむかし、あるところのお話です。あたたかいお日さまがしずんだあと、急に冷たい雨がふってきました。
 それまでいっしょに遊んでいたサルのクラーとカメのラオングは、あわてて近くの木の下に逃げ込みました。
 「ブルブルブルー、なんて寒いんだ」
 クラーがふるえながらそういうと、ラオングも口をとがらせて、
 「ほんとうだね。ブルブルブルー」
 と、いいました。
 「なあ、カメさんよ、明日は木を一本倒して、その木の皮で服を作ろう」
 「それは良い考えだ。こう寒くては、あたたかい服がいるもんな」
 さて、つぎの日になりました。
 雨はすっかりあがって、お日さまの光がいっぱいの、とてもあたたかい日になりました。
 日なたぼっこをしていたラオングは、木の上で昼寝をしているクラーに声をかけました。
 「いい気分だね。サルくん」
 「うん、とびきりすてきな気分さ。ところでカメさん、昨日の約束の上着はどうするの?」
 「こんなにいい天気なのに、なんで上着がいるんだい。明日つくりゃあいいさ」
 「それもそうだね」
 こうしてクラーとラオングは、一日じゅう日なたぼっこをしてすごしました。
 ところが夕方になると、急につめたい風がふいてきて、雨がふってきました。
 クラーとラオングは、
 「ブルブルブルー、寒いよ」
 「ブルブルブルー、明日は上着をつくろうよ」
 と、ふるえながら約束しました。
 でも、つぎの日になると、またのんびりと日なたぼっこです。
 そして夕方に雨が降ると、またふるえながら、明日こそは上着をつくろうといいます。
 また次の日も、また次の日も、昼間はひなたぼっこをして、夕方の雨でブルブルとふるえています。
 はやく、服を作ればいいのにね。
 おしまい    
 
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