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9月13日の世界の昔話
ミツバチの女王
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むかしむかし、三人の王子が旅に出ました。
途中で塔のように高い、アリの巣(す)を見つけました。
三人のうち二人の兄さんは、その巣をほじくり返したいと言いましたが、弟の王子は、
「動物は、そっとしておいてやりましょう」
と、止めました。
次に三人は、湖(みずうみ)に出ました。
水の上のカモを見て、二人の兄さんは焼き鳥にしたいと言いましたが、弟の王子は、
「動物は、そっとしておいてやりましょう」
と、止めました。
やがて三人は、ミツバチの巣を見つけました。
二人の兄さんはハチを焼き殺して、ハチミツを取ろうと言いましたが、弟の王子は今度も止めました。
そのうち三人は、りっぱなお城につきました。
でも、お城のウマ小屋には石のウマがいるだけで、どこにも人の姿はありません。
三人が入っていくと、ネズミ色の小人にあいました。
小人が持っていた石版(せきばん)には
《次の三つの仕事をやりとげると、この城が魔法からすくわれる》
と、書いてありました。
一つ目の仕事は、森のこけの下にかくされた千つぶの真珠(しんじゅ)を夕方までに一つぶのこらず探し出すことでした。
「よし、おれたちがやってやる」
二人の兄さんが真珠をさがしに行きましたが、どちらも夕方までに数がそろわず、二人の兄さんは石にされてしまいました。
弟の王子が森に行くと、前に助けてやったアリたちが五千匹も来てくれて、千つぶの真珠をひろい集めてくれました。
二つ目の仕事は、王女の寝室のカギを海の中からひろってくることでした。
弟の王子が海辺へ行くと、前に助けてやったカモたちがやってきて、水の底からカギを取ってきてくれました。
三つ目の仕事は、眠っている三人の王女の中から、一番年下の王女をさがし出すことでした。
三人の王女は顔も姿も全く同じで、違うところは寝る前に食べたものが、一番上はサトウの固まり、二番目はシロップ、三番目はハチミツがひとさじと言うことでした。
弟の王子がまくらもとにたつと、前に助けてやったミツバチの女王が飛んできて、ハチミツを食べた王女の口に止まりました。
弟の王子は、三つの仕事をやりとげたのです。
すると、お城の魔法が解けて、石にされていた者たちはみんな元の姿になりました。
それから弟の王子は、三番目の王女と結婚してお城の王になったということです。
おしまい