夏の怖い話し特集 今日の昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
     7月13日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
オカルト記念日
きょうの誕生花
へびいちご
きょうの誕生日・出来事
1977年 鈴木紗理奈(タレント)
  7月13日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
耳なし芳一
きょうの世界昔話
眠れる森の美女
きょうの日本民話
なべのふた
きょうのイソップ童話
小ガラスとハト
きょうの江戸小話
かみのふんどし
広告
 

福娘童話集 > きょうの新作昔話 > 石になったオオカミ

2008年 7月13日の新作昔話

石になったオオカミ

石になったオオカミ
岩手県の民話岩手県情報

 むかしむかし、あるけわしい山のふもとに、家が二十軒ばかりの小さな村がありました。
 ある年の正月の夕方のこと、どこから来たのか、吹雪の中をまずしい旅姿の母と娘がこの村を通りかかりました。
 歩きつかれた母と娘は一晩泊めてもらおうと、村の家々をたずねましたが、見知らぬ者を泊めてくれるところはありません。
 でもやっと、ある家のおばあさんが、
「それでは、村はずれのお寺へ行きなさい」
と、道を教えてくれました。
 母と娘はやっとの思いで、お寺へたどりつきましたが、ここでも二人を泊めてはくれません。
 でも、
「本堂の縁の下でよければ、かってに泊まっていけ」
と、言ってくれました。
 その夜、母と娘は雪がふきこむ本堂の縁の下で、ブルブルとふるえながら抱きあっていました。
 夜ふけになると、裏山ではオオカミたちが大きな声でほえていました。
 そして夜が明けると、本堂の縁の下にあみ笠をひとつ残して、母と娘の姿は消えていました。
 さて、それから何ヶ月かたったある秋の日のことです。
 となり村で用事をすませたお寺の和尚さんが夜の山道を帰ってくるとき、峠で六頭のオオカミにおそわれて殺されてしまいました。
 そこで村人たちは、腕のいい熊平(くまへい)という猟師にオオカミ退治を頼みました。
 熊平はオオカミがすむほらあなをさがしだすと、近くの木にのぼってオオカミが出てくるのを待ちました。
 しばらくすると、六頭のオオカミがほらあなから出てきました。
「いまだ!」
 ドスーン!
 ドスーン!
 熊平は狙いをつけて次々と鉄砲をうちましたが、オオカミたちはすばやく身をかわしてしまうので、一発も当たらないうちに玉がなくなってしまいました。
 そして玉がなくなった事を知ったオオカミたちは、熊平がいる木の下へ走っていきました。
 そのときです。
 オオカミがすむほらあなから、一人の娘が出てきました。
 娘はお寺の縁の下から姿を消した、あの娘です。
 母親はいませんが、娘は生きていて、なんとオオカミと一緒にくらしていたのです。
 娘はオオカミたちに、大声でさけびました。
「その人には、帰りを待つ家族がいる。もう許してやりなさい!」
 娘の声をきくと、オオカミたちはすぐに木の下をはなれて、ほらあなへもどっていきました。
 それから年がかわったある冬の夜、六頭のオオカミが村を襲いにきました。
 するとまた、あの娘があらわれて、
「この村には吹雪の晩、お寺への道を教えてくれた、やさしい心をもった方がいるんだよ。暴れずに帰りなさい」
と、オオカミたちに言ったのです。
 するとそのとき、村の猟師の放った矢がとんできて、娘の胸につきささりました。
 娘はその場にばったりと倒れて死んでしまい、オオカミたちはいつのまにかいなくなってしまいました。
 それからしばらくして、村の人が峠の道の脇で、六頭のオオカミが石になっているのを見つけました。
 それから毎年、娘が死んだ日の夜になると、石になったオオカミたちの悲しそうな遠ぼえが、峠の道から聞こえてくるという事です。

おしまい

ページを戻る

きょうの新作昔話メニュー
福娘童話集
きょうの新作昔話
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識