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2008年 11月6日の新作昔話

かみなりの子

かみなりの子
愛知県の民話愛知県情報

 むかしむかし、心のやさしいお百姓さんがいました。
 あるときお百姓さんが、田んぼの水の流れを見て歩いていると、突然空が真っ暗になりました。
「こりゃ、ひと雨くるぞ」
と、あわてて木の下に逃げると、そのとたん稲光がして、ザーッ、ザーッといきおいよく雨が降って来ました。
 そして今度は急にあたりがまぶしく光ったかと思うと、ドーンと地面がわれるような音がしたのです。
 驚いたお百姓さんは、頭をかかえてうずくまりました。
 すると急に雨がやんで静かになったので、お百姓さんはそっと顔をあげました。
 見ると、赤い体で髪の毛がクルクルの男が、気絶して倒れています。
「こりゃー、かみなりさんだな。きっと雲の上から、落っこちたんだろう」
 気の毒に思ったお百姓さんは、かみなりをゆすって起こしました。
 するとかみなりは気がついて、あたりをキョロキョロ見回すと、その場にきちんと正座をして、恥ずかしそうに言いました。
「雲の上でうっかり、足をすべらせてしまいました。ほんとうに、ご迷惑をおかけしてすみません」
「いやいや。それより、どうやって帰るのかね?」
「はい。くすの木で舟を作り、その舟に水を入れて小さな竹の葉を一枚浮かべてくだされば、わたしは空へ帰れます」
「そうか、なら手伝ってやる」
 お百姓さんとかみなりは、二人でくすの木の舟を作ると、かみなりが舟に水を入れて、竹の葉でくるくるまわしながらお百姓さんに言いました。
「ありがとうございます。お礼に願い事を、一つかなえてさしあげましょう」
「それはありがたい。では、子どもをさずけてくださらんか」
「わかりました。約束しましょう」
 かみなりはにっこり笑って、くすの木の小さな舟に乗って空へ帰って行きました。
 それから半年ほど過ぎたある日、お百姓さんの家に男の赤ちゃんが生まれました。
 かわいい顔をした赤ちゃんでしたが、不思議なことに、赤ちゃんは首に虹色のヘビをまきつけて生まれてきたのです。
 みんなは気味悪いから取ってしまおうと言いましたが、お百姓さんは、
「この子はかみなりさんがくださった子だ。きっとヘビが巻きついているのも、何か理由があるにちがいない。このまま育てよう」
と、そのまま子どもを大切に育てました。
 男の子は、すくすくと大きくなりました。
 そして十三歳になるころには、村で一番の力持ちになりました。
 さて、十三歳になった子にちゃんと勉強をさせようと、お百姓さん夫婦は元興寺(げんこうじ)の和尚さんの所へ連れて行きました。
 力持ちで元気で明るい男の子を、和尚さんはとても気に入りました。
 男の子はお寺でよく勉強をして、よく働きました。
 あるとき男の子は、和尚さんにたずねました。
「和尚さま、なぜこのお寺は鐘をつかないのですか? 立派な鐘があるというのに」
「それはな、この寺の鐘をつくと怖い鬼が出てくるのじゃ。今までに鐘をつきに出た小僧が、何人も耳をちぎられたり、腕を折られたりしたのじゃ」
「それなら今夜、私にやらせてください」
「なにを言っておる! あれは恐ろしい鬼じゃぞ」
 でも男の子が何度も頼むので、根負けした和尚さんは、
「それなら、もし鬼が出てきたら、すぐに逃げるのじゃよ」
と、言って、鐘つきを許しました。
 さて、男の子は夜になると、鐘をつきに出ました。
♪ゴーン、ゴーン
 とても素晴らしい鐘の音が、村中に響きます。
 するといきなり、男の子は大きな手で頭をつかまれました。
 鐘の音を聞いて、いつのまにか鬼がやってきたのです。
 すると男の子は、その鬼の手をつかんで鬼を投げ飛ばしました。
 ドシーン!
 生まれて初めて投げられてびっくりしている鬼に、男の子は飛びつきました。
 そして鬼の頭の角をしっかりとにぎると、鬼に言いました。
「やい、お前が悪い鬼だな!」
「こらっ、大事な角をつかむな! 離せ!」
「離すもんか〜!」
 鬼は角にしがみつく男の子を引き離そうとしますが、男の子の方が力が強くて、どうやっても引き離せません。
 するとそのうちに、
 ボキッ!
と、鬼の角が折れてしまいました。
「ウギャーーー!」
 鬼は悲鳴を上げると、どこかへ逃げてしまいました。
 さて、その悲鳴を聞きつけた和尚さんがあわててやってくると、男の子は手に持った鬼の角を見せて言いました。
「悪い鬼はわたしがこらしめました。もう二度と、やってこないでしょう」
 それから、ここ元興寺には、二度と鬼はやって来なかったそうです。

おしまい

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