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2008年 5月19日の新作昔話
大きなカブ
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むかしむかし、ある村に、大変働き者のお百姓さんがいました。
お百姓さんは毎日、せっせ、せっせと、田や畑をたがやしました。
ある年のことです。
畑に、カブの種をまきました。
するとどうしたわけか、たった一本しか芽を出しません。
ところがその一つのカブは、ぐんぐん、ぐんぐん、大きくなりました。
さすがのお百姓さんも、びっくりです。
そしてかぶは、とうとう人が三人も手をつながなければ、かかえられないほどの大きさになったのです。
「こんなでっかいカブなんて、見た事もなければ話に聞いた事もない」
「なんとでっかい、カブの化け物じゃ」
近所の人たちも、そう言って驚きました。
とても珍しいカブなので、お百姓さんは王さまに差し上げようと考え、大きなカブを荷車に乗せて二匹の牛に引かせると、王さまの御殿へ行きました。
「おお、これは素晴らしいものだ」
王さまはカブを見てびっくりです。
「こんなものが作れるとは、感心じゃ。きっと、そなたがまじめに働いていたからであろう」
そういって王さまは、お百姓さんに、お金や、おいしいお菓子や、珍しい果物など、たくさんのごほうびをやりました。
さあ、この話は村中の評判になりました。
さて、この村に、大変欲張りな男がいました。
「よし、おれはカブなんかより、もっといい物を王さまに差し上げて、もっとたくさんのほうびをもらってやろう」
男はそう考えて、自分の大切な馬に、お金をいっぱい積んで、王さまの御殿へ行きました。
そして、馬ごとそっくり王さまに差し上げました。
「これは、ありがたい」」
王さまは、とても喜びました。
「何か、お返しにほうびをやりたいものだ。・・・そうだ、あの珍しい大カブをつかわそう」
そう言って王さまは、お百姓さんからもらったカブを男にあげたのです。
おしまい
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