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福娘童話集 > きょうの新作昔話 > ゾウとヤギの大食い勝負 イランの昔話 
      2008年 6月6日の新作昔話 
          
          
         
        ゾウとヤギの大食い勝負 
  イランの昔話 → イランの情報 
       むかしむかし、ゾウとヤギが、どっちがたくさん食べられるかと言って、けんかをはじめました。 
        「おれは体が大きいから、お前の百倍も食べることができるぞう」 
        「とんでもない。ぼくは体が小さくても、一日中、口を動かしていられるよ。メエー」 
         そこでどっちが大食いか、王さまのライオンに決めてもらうことにしました。 
         ライオンは、ゾウとヤギを原っぱへ連れていき、 
        「さあ、食べられるだけ食べてみろ。たくさん食べた方は人間のところへ行かせてやるが、負けた方はわしが食べてやる」 
        と、言いました。 
         ゾウは、すぐに大きな木を倒して、葉をばりばりと食べはじめました。 
         でもヤギは、草の先をかじっているだけです。 
        (ふん、えらそうなことを言っても、ヤギは草の先しか食べられない。もう、おれが勝ったようなものだぞう) 
         ゾウは、お腹がパンクしそうなほど食べると、ゴロリと横になりました。 
         ところがヤギは草のない岩の上にのぼって、口をもぐもぐ動かしています。 
         それを見て、ゾウが言いました。 
        「おいおい、そんなところに草なんかないぞ。お前は何を食べているんだぞう」 
         すると、ヤギが言いました。 
        「なあに、岩をかじっているのさ。すっかり草を食べたのに、まだ、お腹がいっぱいにならないんだ。だからこの岩を食べたら、今度はお前さんを食べてやるからね。メエー」 
         それを聞いて、ゾウはとびあがりました。 
         ぐずぐずしていたら、自分まで食べられてしまいそうです。 
         ゾウはあわてて、森の中へ逃げていきました。 
         そこで、ライオンが言いました。 
        「よし、ヤギは人間のところへ行け。ゾウは、わしが食べてやる」 
         そのときから、ヤギは人間に飼われるようになり、ゾウはライオンに追いかけられながら、森の中をうろつくようになったのです。 
      おしまい 
         
          
         
        
       
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