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ささずんと昔話講座 第05話【瓜子姫と天邪鬼】 読者の「NS.MOOOON」さんの投稿作品。 アニメサイズ Max 2560×1440 youtubeの設定で変更可能
むかしむかし、あるところに、子どものいないおじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日の事、おばあさんが川へ洗濯に行くと、ドンブラコ、ドンブラコと大きなうりが流れてきます。
「おやおや、何て大きなうりでしょう。家へ持って帰って、おじいさんと二人で食ベましょう」
おばあさんはうりを拾い上げると、家へ持って帰りました。
うりが大好物なおじいさんは、おばあさんが持って帰ったうりを見て大喜びです。
「こんなに大きなうりは、初めて見た。・・・よし、わしが切ってやろう」
おじいさんが包丁(ほうちょう)を振り上げると、
うりはひとりでにパカッと割れて、
中から可愛らしい女の子が飛び出してきました。
「おや?」
うりから生まれた子どもなので、名前を『瓜子姫(うりこひめ)』と名づけました。
赤ちゃんの頃から可愛い子でしたが、瓜子姫は大きくなるにつれてますます可愛らしくなり、やがて成長すると『けしの花』の様な美しい娘になりました。
そのあまりの美しさに、お殿さまがお嫁にほしいと言ってくるほどです。
おじいさんとおばあさんが帰って来るのを待っていました。
ある日の事、瓜子姫がいつもの様に一人で機をおっていると、やさしそうな声で戸をたたく者がありました。
「もしもし、可愛い瓜子姫や。この戸を、開けておくれ。お前の上手な機おりを、見せてほしいのさ」
「いいえ。戸を開ける事は、出来ません。
ほんの少し、指が入るだけでいいからさ」
瓜子姫は、ほんの少しだけ戸を開けました。
ほんのもう少し、この手が入るだけでいいからさ」
瓜子姫は、また少し戸を開けました。
ほんのもう少し、この頭が入るだけでいいからさ」
瓜子姫がまた少し戸を開けると、
戸のすきまから頭を突き出したあまのじゃくが、するりと家の中へ入って来ました。
「けっけけけ。
じいさんとの約束を破って、おれさまを家に入れるなんて」
あまのじゃくは瓜子姫の着物をはぎ取ると、
瓜子姫を裏山の柿の木にしばりつけました。
瓜子姫に化けて機おりを始めました。
間もなく、おじいさんとおばあさんが帰って来ました。
「瓜子姫や、さびしかったろう」
「ええ、とってもさびしかったわ」
瓜子姫をお嫁にもらう為に、お殿さまのカゴが迎えに来たのです。
「瓜子姫や、お殿さまのお迎えが来たよ。これでお前は、何不自由なく幸せになれるよ」
カゴの行列はお城へ向かって、裏山の道を登って行きました。
すると柿の木のてっペんで、カラスがこんな声で鳴き出しました。
♪カー、カー、カー、カー、かわいそう。
♪瓜子姫は、木の上で。
みんなはそれを聞いて、瓜子姫がしばりつけられている柿の木を見上げました。
「まずい、逃げよう」
瓜子姫に化けたあまのじゃくはカゴから逃げようとしましたが、
お殿さまの家来に捕まって首をはねられてしまいました。
こうして本物の瓜子姫がカゴに乗ってお城へ行き、
お殿さまのお嫁さんになって幸せに暮らしたのです。 |
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