百物語 日本の怖いお話し 福娘童話集 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
- 広 告 -
 


福娘童話集 > 日本のこわい話(百物語)

百物語 第153話

カッパの宝物

カッパの宝物

 むかしむかし、九州には九十九峠という峠があり、そこを下ったところに、カッパ池と呼ばれる深い池がありました。
 青黒い水をたたえた池は、見るからに気味悪く、この池で魚を取ったり泳いだりすると、恐ろしいカッパが現れて、必ず命を奪われると言うのです。

 ある日の夕方、一人のお百姓(ひゃくしょう)が、この池のふちでウマを洗っていました。
 すると突然、ウマのたづなをグイグイ引っぱるものがあります。
 お百姓は慌ててウマのしっぽを掴むと、うしろへ引っぱりました。
 そしてウマが土手の上へ駆け上がると、ウマは何かを振り落としました。
 見てみると、それは何と、頭に皿を乗せたカッパです。
「このやろう!」
 お百姓は、いきなりカッパに飛びつきました。
 カッパは力持ちで有名ですが、ふいをつかれたカッパは、あっという間にひっくり返り、頭の皿の水をすっかりこぼしてしまいました。
 皿の水が無くなっては、カッパは力が出ません。
 力の出ないカッパは、たちまちお百姓に組みふせられて、首をしめられました。
「く、苦しい・・・」
 カッパは目を白黒させながら、おがむように手を合わせます。
 お百姓が手をゆるめてやると、カッパは手をついてあやまりました。
「もういたずらはしないから、許しておくれ。その代わり、わしの宝物をあげるから」
 宝物と聞いて、お百姓はニンマリです。
「よし、では許してやろう。しかし、どんな宝物をくれるというのだ」
 するとカッパは、いつの間に用意したのか、一つのタルと手紙をお百姓に渡して、
「宝物はここにない。すまんがわしの家まで取りに行ってくれ。わしの家は、この峠を登りきって右へ曲がった所にある。このタルと手紙を持っていけば、家の者が渡してくれるはずだ」
「・・・・・・」
 お百姓は、何だか怪しいような気もしましたが、
(まあ、とにかく行くだけ行ってみよう)
と、覚悟を決めて、タルをかついで峠を登っていきました。
 ところが上へ近づくにつれて、なんだか臭いにおいがしてきます。
 おかしいと思ってあたりを調べてみましたが、別に変わった様子はありません。
「クンクン。・・・もしかして、このタルか?」
 なんと、臭いにおいは、かついでいるタルの中からもれていたのでした。
 お百姓は、あわててふところから手紙を出して読んでみました。
 すると手紙には、
《親分の言いつけ通り、人間の肛門を百個届けます。タルの中には九十九個入っていますが、最後の一個はこの男の物を取ってください》
と、書いてありました。
「そ、そんなばかな・・・」
 お百姓はビックリしてタルを投げ出すと、大慌てで峠(とうげ)をくだっていきました。
 男は家に戻ったものの、それから高い熱を出して、七日間も寝込んでしまったそうです。

おしまい

 前のページへ戻る

お話しの移動

・ 福娘童話集
・ 100物語 (こわ〜い話)

百 物 語

・   1話  〜  10話
・  11話  〜  20話
・  21話  〜  30話
・  31話  〜  40話
・  41話  〜  50話
・  51話  〜  60話
・  61話  〜  70話
・  71話  〜  80話
・  81話  〜  90話
・  91話  〜 100話

・ 101話  〜 110話
・ 111話  〜 120話
・ 121話  〜 130話
・ 131話  〜 140話
・ 141話  〜 150話
・ 151話  〜 160話
・ 161話  〜 170話
・ 171話  〜 180話
・ 181話  〜 190話
・ 191話  〜 200話

・ 201話  〜 210話
・ 211話  〜 220話
・ 221話  〜 230話
・ 231話  〜 240話
・ 241話  〜 250話
・ 251話  〜 260話
・ 261話  〜 270話
・ 271話  〜 280話
・ 281話  〜 290話
・ 291話  〜 300話

・ 301話  〜 310話
・ 311話  〜 320話
・ 321話  〜 330話
・ 331話  〜 334話


ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界