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百物語 第238話

山女

山女
群馬県の民話群馬県情報

 むかしむかし、群馬県(ぐんまけん)の草津地方(くさつちほう)では、山で仕事をする人たちは十月八日になると仕事をやめて山の小屋をしめ、ふもとの村へもどるならわしになっていました。
 さて、ある年の十月八日の事です。
 山の小屋で炭を焼いている三人の男が、まだ仕事がかたづかないので、しばらく山に残ることにしました。
「さて、今夜は村へおりていって、酒でものんでくるか」
 一人の男がいうと、二人の仲間もうなずきました。
 三人が山道をおりていくと、とちゅうにある温泉の湯滝(ゆたき)の下にある湯つぼで、人の気配がしました。
 ふと見ると、月明かりの中に長い白髪の女の人が一人で、湯につかっているのが見えました。
 すると、女の人は向こうをむいたまま、
「いまごろから山をおりて、どこへいくのじゃ?」
と、声をかけてきたのです。
「村へ戻って、酒をのみにいくんじゃ」
 いわれるままに三人の男がこたえると、女の人はふりむいて、
「では、わたしも一緒に行きましょう」
と、言ったその顔を見ると、目玉が一つしかない一つ目だったのです。
 一つ目は顔のまん中にあるミカンほどの大きさの目玉を光らせて、ニヤニヤと笑いました。
「でたあー!」
 三人の男はちょうちんを放り出して、山の小屋へと飛んで帰りました。
 温泉につかっていたのは草津の山にすむ山女(やまおんな)だと言われています。
 ほかにも、山女を見たことのある木こりの話しでは、
「年は十歳の子どもほどで、小皿のような目玉が顔のまん中に一つだけあって、なかまを二、三十人ほどつれて歩いていた」
と、いいます。
 とてもおそろしい姿の山女ですが、山女は人をおどかしても、けっして人に悪さはしないという事です。

おしまい

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