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7月11日の日本の昔話
カッパのきず薬
河童个傷藥
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかし、武田信玄(たけだしんげん)の家来に、主水頭守清(もんどのかみもりきよ)という医者がいました。
頭擺頭擺,武田信玄(takedashingen)个家臣,安到主水頭守清(mondonokamimorikiyo),係一個醫生。
ある日の事、守清(もりきよ)が馬に乗って川を渡っていると、馬が急に立ち止まりました。
有一日,守清騎等馬過河壩个時節,馬忽然間頓恬。
「はて?」
「仰般形?」
守清が下を見ると、何と川の中から黄緑色の長い腕が伸びていて、馬の足をしっかりと握っているではありませんか。
守清低頭看,仰會河壩肚有一支青黃色个手髀伸出來,摎馬腳捉等核核呢?
「その手を離せ!」
「手拿開!」
守清がどなりましたが、黄緑色の手は馬の足を離そうとはしません。
守清大聲咄,毋過青黃色个手髀還係毋想放開馬腳。
そこで守清は腰の刀を抜いて、その腕を切り落としました。
所以,守清挷出腰刀,剁下該支手髀。
こうして動けるようになった馬は、川を渡って向こう岸に着きました。
恁就樣做得停動个馬,行過河壩到對岸。
「しかしあの腕は、何だったのだ?」
「該支手髀係麼个?」
守清が馬からおりてみると、馬の足には黄緑色の腕がくっついたままです。
守清跳下馬去看,青黃色个手髀還係黏在馬腳髀。
よく見るとそれは、カッパの腕のようです。
看較清楚兜,看起來像河童个手髀樣。
守清は、とても喜んで、
守清非常歡喜,講:
「これは、珍しい物を手に入れたぞ」
「這係得著罕得看著个東西。」
と、その腕を馬の足からはずして、家へ持ち帰りました。
斯摎該支手髀剝下馬腳髀,帶轉屋下。
さて、その晩の事。
該暗晡。
守清が寝ていると、誰かがこっそりと部屋に忍び込んできました。
守清睡目時節有人偷偷潛落間肚。
「何者だ。名を名乗れ!」
「麼人?報出大名!」
起き上がった守清が枕元の刀をつかむと、それはあわてて言いました。
分人吵醒个守清蹶䟘起來,抓著枕頭下个刀子時節,聽著慌慌張張个聲講:
「お待ち下さい。わたしは昼間のカッパです」
「等一下,𠊎係日時頭該隻河童。」
「何、カッパだと?」
「麼个,係河童?」
守清が明かりをつけると、一方の腕をなくしたカッパが座っています。
守清點著火時節,看著失去一隻手髀个河童坐在該。
「カッパが、何用だ!」
「河童嘎,有麼个事?」
「はい、実は、わたしの腕を返してもらいに来ました。
「係呦,𠊎係來討轉𠊎个手髀。
もう二度と馬の足を引っぱったりはしませんから、どうか腕をお返しください」
𠊎永遠毋會再過拉馬腳了,所以請摎手髀還𠊎好無?」
「とんでもない。どうせならその残った腕も、切り落としてやろうか?」
「哪有這種道理,你想𠊎摎你伸著該隻手髀順續剁下來嘎?」
「そればかりは、ごかんべんを!もし腕を返してくださるのなら、日本一のきず薬の作り方をお教えしましょう」
「這就愛請你原諒!若係摎手髀還𠊎,𠊎會教你日本最好个傷藥製造方法。」
「ほう。日本一のきず薬とな」
「ho,日本最好个傷藥。」
「はい。これがわたしの作った、日本一のきず薬です」
「係啊。這係𠊎做个日本最好个傷藥。」
そう言ってカッパは、貝がらに入った薬を見せました。
講煞,河童拿出螺殼張等个藥仔分佢看。
その薬はカッパと同じ黄緑色で、とてもネバネバしています。
這種藥仔摎河童共樣係青黃色,黏黏浹浹。
「ならばこの場で、切れた腕をくっつけて見せろ。出来るか?」
「無恁樣,這下摎剁斷个手髀黏轉去分𠊎看。你做得到無?」
「はい、おやすいことです」
「好,這簡單。」
守清が切り落としたカッパの腕を渡すと、カッパはその切り口に貝がらの薬をたっぷりとつけて、元のように自分の体にくっつけました。
守清摎剁斷个手髀交還河童後,河童就對螺殼拿出个藥仔膏當多在切口,像以前樣摎佢黏轉去。
「これ、この通りです」
「噯,斯像恁樣。」
カッパは腕をグルグルと回すと、腕をつないだ部分をを守清に見せました。
河童手髀捩捩轉後,手髀接个位所分守清看。
もはや腕には、毛ほどのきずもありません。
手髀頂連頭那毛恁大个痕都無。
「なるほど、確かによく効く薬じゃ。では、その日本一の薬の作り方を教えてもらおうか」
「有影,這係非常有效个藥仔。該,做得教𠊎仰般製造日本最好个藥仔無?」
「はい」
「好!」
カッパは薬の作り方を、細かく話しました。
河童詳細解釋製作藥仔个方法。
守清はそれを、しっかりと頭に叩き込みます。
守清摎佢記核核。
日本一のきず薬の作り方を覚えた守清は、すっかりうれしくなって、
守清學會日本最好个傷藥製造方法非常歡喜,講:
「ところでカッパ。一緒に酒でも飲まんか?」
「著,河童。你仰毋來共下啉酒?」
と、酒を取りに行こうとしたとたん、ハッと目が覚めました。
想愛去拿酒該下、忽然間醒了。
「何だ、今のは夢だったのか?」
「麼个,頭下係發夢無?」
床の間を見てみると、そこへ置いておいたはずのカッパの腕がありません。
看看壁龕,應該放在該位河童个手髀無在了。
「そんな馬鹿な」
「這個大戇牯。」
守清は飛び起きると、縁側(えんがわ)へと出ました。
守清跳起來,順等廊下走出去。
するとそこには、もみじの形をしたカッパの足跡が点々とついています。
該位有當多楓樹葉形河童个腳跡、一搭一搭。
「あれは、夢ではなかったのか?」
「該毋係發夢嘎?」
次の日、守清はカッパに教わったきず薬を作って、信玄の館へ行きました。
第二日,守清照河童該位學著个方法製造傷藥,拿去信玄公館。
そしてけがをしている侍たちに、この薬をつけました。
膏在著傷个武士身上。
するとけがの痛みがうそのように取れて、きず口もたちまちふさがったのです。
膏了後,像無事樣毋會痛、傷口乜無忒。
「なるほど、確かに日本一の薬だ」
「確實,這絕對係日本最好个藥仔。」
その後、守清は信玄の家来をやめて薬屋になり、この薬に『カッパのきず薬』という名前をつけて売り出したのです。
後來,守清辭忒信玄家臣職務,開藥店做頭家,並用『河童个傷藥』个名仔賣這種藥仔。
すると『カッパのきず薬』はたちまち評判となり、けがをした人が全国から買いに来るようになりました。
河童个傷藥个名聲一下仔流傳開來,著傷个人弛崗打陣從全國各地來買。
おかけで店はどんどん大きくなって、守清が亡くなった後も書き残された薬の作り方によって、店は何代にもわたって繁盛したそうです。
打幫佢,這坎店越開越大間,守清過身後,子孫乜照留下來个藥仔製作方法做,聽講這坎藥店也傳了幾下代。
おしまい
煞咧
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