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11月30日の日本の昔話
カブ焼き甚四郎(じんしろう)
焙蕪菁
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あるところに、カブを焼いて食べるのが大好きな甚四郎(じんしろう)という男がいました。
頭擺頭擺,某隻位所,有一個當好食焙蕪菁个細倈仔甚四郎。
そこで村人たちは、『カブ焼き甚四郎』と呼んでいました。
所以村民喊佢『焙蕪菁个甚四郎』。
でも、甚四郎は気にする様子もなく、毎日、畑でカブを作っては、そのカブを焼いて食べていました。
毋過,甚四郎由在人講,逐日照常去園項改蕪菁,摎蕪菁焙來食。
ある日の事、村人たちがこんな話をしていました。
有一日,該兜村民在該閒談。
「甚四郎も、嫁さんでももらえば、村の為に頑張ってくれるかもしれんなあ」
「甚四郎若係討晡娘,無定會為村莊還較煞猛。」
「そうだな。どこかに、いい嫁さんはいないだろうか?」
「係哪,哪位有好个新娘?」
「そう言えば、朝日長者に娘がおったぞ」
「講到這,朝日有錢人有個妹仔。」
そして貧乏な甚四郎のところへ嫁に来てもらうために、村人たちは朝日長者の屋敷の前で、ちょっと芝居をすることにしました。
所以,為著窮苦个甚四郎討著餔娘,該兜村民在朝日有錢人大座屋面頭前,做棚戲。
「かぶ焼き甚四郎のお国とりー」
「焙蕪菁个甚四郎做村長」
村人たちは、大声で長者に知らせたのです。
該兜村民大聲通知有錢人。
朝日長者はそれを聞いて、甚四郎を立派な長者だと勘違いをして、娘を嫁に行かせることに決めたのです。
朝日有錢人聽著該,誤會認為甚四郎係派頭个有錢人,所以決定摎妹仔嫁分佢。
「よし、うまくいったぞ」
「好,講著還好。」
村人たちは、大喜びです。
該兜村民歡喜壢天。
ところが、嫁にきた朝日長者の娘は、甚四郎の家を見てびっくり。
毋過,嫁過來个朝日有錢人个妹仔,看著甚四郎个屋下嗄著驚。
立派な屋敷だと思っていたのに、甚四郎の家はボロボロの掘っ立て小屋です。
本旦認為派頭个大座屋,甚四郎个屋下係間寮仔。
それに夫の甚四郎は、毎日ニコニコとカブばかり焼いて食べているのです。
甚四郎還係逐日笑咪咪焙蕪菁來食。
嫁さんは、そんな暮らしにがまん出来なくなり、嫁入りの時に持ってきた反物を出して言いました。
新娘無法度過這種生活,就拿出嫁來時節帶來个綾羅綢緞,講︰
「あなた、この反物を町で売ってきて!」
「親愛个老公,這綾羅綢緞拿去街路賣!」
「へい」
「好!」
甚四郎は上等できれいな反物を持って、町へ売りに行きました。
甚四郎拿等高級又靚个綾羅綢緞去街路賣。
すると、反物屋の主人は喜んで、
布店頭家非常歡喜講︰
「これは、素晴らしい反物ですな」
と、甚四郎にたくさんのお金を払いました。
「這還靚个綾羅綢緞哪。」
拿了當多錢分甚四郎。
大金を手に入れた甚四郎は、家に帰る途中の畑で、わなにかかった鷹を見つけました。
拿著當多錢个甚四郎,在轉屋下半路个園肚,看著一隻鷹分網仔張著。
「おや、かわいそうに」
「唉哦,還衰過哪!」
甚四郎がわなをはずしてやると、鷹はバサバサと羽を広げて空へ飛んで行きました。
甚四郎解開網仔後,鷹翍開兩隻翼飛去天頂。
「鷹よ。元気でなー」
「鷹啊,愛保重。」
甚四郎が見送っていると、それを見た畑の持ち主が、かんかんに怒りながら走って来ました。
甚四郎送走鷹以後,看著該个園主,當火著行過來。
「この野郎!せっかく捕まえた獲物を逃がしやがって!」
「這個漦仔!捉毋得著个東西,摎𠊎放放走!」
甚四郎が謝っても、畑の持ち主は許してくれないので、
甚四郎仰般形會失禮,園主都毋肯原諒佢。
「では、これでかんべんしてくれ」
と、反物を売ったお金を全部あげてしまいました。
「請你原諒。」
並摎賣綾羅綢緞个錢總下交分園主。
「嫁さん、怒るかな?」
「餔娘會閼敢哪?」
甚四郎は、そう思いましたが、鷹を助けた事がうれしくて、
甚四郎恁樣想,毋過救著鷹个事情還係當歡喜。
「まあ、何とかなるだろう」
と、のんきに口笛を吹きながら歩いていきました。
「好,總會有辦法!」
心情輕鬆緊行緊歕嗶嗶仔。
すると川の岸に、さっきの鷹がいるのが見えました。
過後,看著頭下該隻鷹在河壩脣。
甚四郎がかけよると、鷹は、何とカッパをおさえつけているのです。
甚四郎行兼去个時節,鷹仰會撳等一隻河童。
鷹に押さえつけられたカッパは、泣きながら甚四郎に頼みました。
分鷹撳等个河童,一頭叫一頭求甚四郎。
「助けてください。助けてくれたら、カッパの宝物の延命小槌(えんめいこづち)を差し上げます。延命小槌は、振りながら欲しい物を言うと、その願いをかなえてくれます」
「救命哦,若係救吾命𠊎就送河童个寶長命小槌分佢,緊搖長命小槌緊講想愛个東西,你就會得著該東西。」
それを聞いた甚四郎は、鷹に言いました。
聽著該个甚四郎斯摎鷹講︰
「助けてやれや」
「摎𠊎𢯭手!」
そのとたん、鷹はカッパを離して、空へと飛んで行きました。
該下,鷹斯摎河童放忒,飛上天。
「ありがとうございます」
「承蒙你。」
カッパは甚四郎にお礼を言って、約束通り川の底から延命小槌を持って来ました。
河童摎甚四郎感謝,照約定在河壩底拿出長命小槌,行過來。
さて、家に帰った甚四郎は、嫁さんを呼ぶと、さっそく延命小槌を試してみました。
轉到屋下个甚四郎,喊出餔娘,黏時試用長命小槌。
「米出ろ。米出ろ」
「米出來,米出來。」
すると本当に、小槌を振るたびにザクザクとまっ白な米が出て来るのです。
正經,小槌搖阿搖時節,米就sasa滾走出來。
甚四郎も嫁さんも、大喜びです。
甚四郎、餔娘非常歡喜。
そして小槌から立派な屋敷を出して、自分たちもいい着物を着て、嫁さんの両親の朝日長者を招待しました。
過後,用小槌變出派頭个大座屋、自家乜著萋頭个衫褲,招待丈人老、丈人哀。
招待された朝日長者は、立派な屋敷を見てびっくりです
朝日有錢人看著派頭个大座屋,嗄著驚。
「こんなに見事な屋敷と庭は、見たことがない」
「這恁派頭个大座屋摎庭院毋識看過。」
「本当に。娘は幸せ者ですねえ。いい方にもらっていただいて」
「正經,妹仔還有福氣呢,嫁到恁好个人。」
朝日長者は、ご機嫌です。
朝日有錢人非常歡喜。
その夜、家へ帰ろうとする朝日長者に、嫁さんがいいました。
該暗晡,妹仔來摎按算愛轉个朝日有錢人講︰
「泊まっていかれないのですか?」
「在這過夜做得無?」
「ああ、若い二人の邪魔をしてはいけないからな」
「啊,毋好攪躁你兩個後生人哪。」
「でも、こんなに帰る道が暗いと、わたくしどもも心配です」
「毋過,這路恁暗,𠊎乜毋放心。」
すると甚四郎は、火の付いた松明を持ってきて言いました。
所以甚四郎擎等點著个火把過來,講︰
「なら、夜道を明るくしましょう」
「若係恁樣,用精把火照亮夜路。」
そして甚四郎は、なんと自分の屋敷に、松明の火をつけたのです。
所以,甚四郎就摎自家个大座屋點著火。
メラメラと音をたてて甚四郎の屋敷が燃えあがり、あたりが昼間のように明るくなりました。
甚四郎个大座屋燒到當猛,就近像日時頭樣,光華華。
「なんと、もったいない」
「仰會恁打爽。」
おどろく朝日長者に、甚四郎と嫁さんは、
甚四郎兩公婆就摎發痴驚个朝日有錢人講︰
「どうぞ気になさらずに。朝日長者のお屋敷に着く頃まで、わたくしどもの屋敷は燃え続けて明るいでしょう。さあ、ゆっくりとお帰りください」
「毋使煩惱,你轉到屋下以前,會繼續燒大座屋,摎你照路,順順仔行。」
と、笑いながら見送ったそうです。
笑咪咪送行。
おしまい
煞咧
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