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12月10日の日本の昔話
彦一とえんまさま
彦一摎閻王
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
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投稿者 「ちょこもち」 ちょこもち
むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
頭擺頭擺,有一個人安到彦一,非常聰明个細人仔。
その彦一も年を取っておじいさんになり、とうとう死んでしまいました。
該個彦一緊來緊老,包尾斯過身。
死んだ彦一が目を覚ますと、目の前に地獄(じごく)のえんまさまがすわっています。
死忒个彦一目珠擘開來時節,面頭前坐等个係閻王大人。
(しまった!ここは、地獄じゃ)
(無結煞,這位係地獄。)
だけど彦一は、少しもあわてません。
毋過,彦一無半滴驚。
彦一は死ぬ前に、黒ざとうと、白ざとうと、トウガラシの粉を入れた三段の重箱(じゅうばこ)をひつぎに入れるように言い残したのです。
彦一在死前交代過,摎烏砂糖、白砂糖、辣椒粉放落三層盒仔,放在棺材肚。
彦一は重箱を開けると、中の黒ざとうをおいしそうになめはじめました。
彦一打開三層盒仔,開始盡好食樣舐烏砂糖。
「こら彦一、しんみょうに、おれさまのさばきを受けい。・・・やや、そこで、何をなめているか」
「噯,彦一,乖乖接受吾裁判。・・・你在該舐麼个?」
えんまさまが大目玉でにらみつけると、彦一はニッコリ笑って、
閻王大人大目矻睞過來,彦一笑咪咪講︰
「これは、とてもうまい物です。ちょっとだけ、えんまさまにも差し上げましょう」
「這係當好食个東西,等下會分你一兜。」
と、黒と白のさとうを出しました。
就拿出烏砂糖、白砂糖分佢。
「うむ、すまんの。・・・ふむふむ。なるほど、これは確かにうまい。・・・うん? その下の段には、何が入っておる?」
「m11,失禮、・・・fumu,有影,確實好食,・・・m24?下背層放麼个?」
「では、これもなめてください」
「該,這乜請試舐看。」
彦一が差し出したのは、まっ赤なトウガラシの粉です。
彦一分佢个係紅冬冬个辣椒粉。
えんまさまはチョイとなめて、すぐに吐き出しました。
閻王大人略略仔舐一下,黏時呸出來。
「ペッ、ペッ!何じゃこれは!口の中が、火事になったようじゃ」
「呸、呸!這係麼个東西!嘴肚像著火燒樣。」
すると彦一は、とぼけた顔で言いました。
過後,彦一詐毋知樣講︰
「えんまさま、この赤い粉は、ひと口なめれば辛い物。一度に食べればうまい物です。食べる時は、一度に飲み込まなくてはいけません」
「閻王大人,這紅紅个粉,舐一口盡辣,做一下食斯當好食个東西,食个時節定著愛做一口食落去。」
「そうか、では、はやくよこせ」
「有影無?該斯遽兜!」
えんまさまは重箱いっぱいのトウガラシの粉を、大きな口を開けて一口で飲み込みました。
閻王大人擘開大嘴摎三層盒仔張到淰淰个辣椒粉,做一口食落去。
するとお腹の中が大火事になり、口や目から火をふきました。
過後,肚屎肚著火燒,嘴摎目珠噴火出來。
「あちち!これはたまらん!もうたまらん!」
「azizi!這當毋著了!當毋著了!」
えんまさまはドタバタあばれると、はだかになって水をかぶりにかけ出しました。
閻王大人嗶嗶跳,衫褲脫淨淨,用水完身淋濕濕。
「では、わたしはこのすきに」
「該,𠊎煞煞利用這時間。」
彦一はえんまさまが脱ぎすてた衣に着替えると、外へ飛び出して何も知らない子オニたちに言いました。
彦一換著閻王大人脫下來个衫褲,走出外背去,摎毋知頭來尾去个鬼子鬼孫講︰
「おほん! わたしは、えんま大王であるぞ。天国まで用事があるので、すぐにカゴを用意しろ」
「ohon!𠊎係閻王大人,愛去天頂辦事情,黏時摎轎準備好勢。」
「はっ、ただいま!」
「好,隨好!」
子オニたちは急いでカゴを用意すると、彦一を天国まではこびました。
鬼子鬼孫遽遽摎轎準備好後,送彦一去天頂。
こうして彦一は、天国でのんびり暮らす事が出来たのです。
所以,彦一在天頂閒亍亍過日仔。
おしまい
煞咧
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