| 福娘童話集 > きょうの世界昔話 > 12月の世界昔話 > ゾウのめかた
 12月10日の世界の昔話
 
  
 ゾウのめかた
 中国の昔話 → 中国の国情報
 
 ※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
 
 投稿者 「ひつじも眠る朗読チャンネル」
 
 ※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
 
 制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】
 
 ※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
 
 投稿者 「天乃悠の朗読アート」   天乃悠の朗読アート
 
        
          | ♪音声配信(html5) |  
          |  |  
          | 朗読者 : にしむー_246 |   むかしむかし、中国の都へ、遠い南の国から一匹のゾウがおくられてきました。みんなゾウを見るのは初めてなので、大勢の人がめずらしそうに集まってきました。
 「ほほう。なんと大きなけものだろう」
 「こんな大きなけものは、今まで見た事がない。めかた(→おもさ)は、どれくらいあるのだろう?」
 「それなら、はかってみればいいじゃないか」
 「でも、こんな大きな物をはかるはかりはないだろう」
 「そうだなあ。いくらこの国の皇帝(こうてい→王さま)でも、こんな大きな物をはかるはかりなどは持っていないだろうし」
 「でも、めかたを知りたいな」
 「何か、良い方法はないだろうか?」
 みんながワイワイと相談していると、一人がこう言いました。
 「それでは、力持ちの人を大勢集めてはどうだ? そしてゾウの体になわをかけて、長いぼうに通してかつぎあげるんだ」
 「しかしそれではゾウを持ち上げるだけで、めかたははかれないじゃないか」
 「そうだそうだ。やっぱり大きなはかりを作らなければだめだよ」
 「でも、そんな大きなはかりを作るのは、とてもむりだろう」
 「そうだな。やっぱりむりか」
 人々があきらめようとしたその時、後ろの方から元気な声が聞こえてきました。
 「そうかな? はかるなんて、かんたんに出来るけどなあ」
 みんながいっせいにふりかえると、そこには一人の男の子がニコニコ笑いながら立っていました。
 「何だ、子どもか。あっちに行きなさい。これはむずかしい話だから、子どもにはわからないよ」
 すると子どもは、子どもは大きな声で言い返しました。
 「でも、ちゃんとはかる事は出来るよ! 本当だよ!」
 「やれやれ。ではどうすれば、こんな大きなけものをはかれるというのだね?」
 「ほら、あれを見てごらん」
 子どもは、むこうの大きな池を指さしました。
 その池には、大きな船がうかんでいます。
 「あの船に、ゾウをのせるんだよ」
 「それで、のせてどうするんだね?」
 「やってみればわかるよ」
 子どもが自信たっぷりに言うので、みんなはためしにゾウをその船にのせてみました。
 
 さて、ここでこのお話を読んでいるみなさんも、考えてみてください。
 どうすれば、ゾウの重さをはかる事が出来るのでしょうか?
 
 ・・・・・・では、お話の続きです。
 ゾウが船にのると、ゾウの重さで船がググッとしずみました。
 子どもはそのしずんだところに、すみでしるしをつけます。
 「さあ、これでよし。今度はゾウをおろして、代わりに石をのせておくれ」
 ゾウを船からおろすと、船がまた浮き上がりました。
 そしてみんなが石をのせていくと、船はまた少しずつしずんでいきます。
 船はどんどんしずんでいって、とうとうさっきゾウをのせた時につけたしるしのところまでしずみました。
 「はい、そこでやめてください! 今度はその石を船からおろして、少しずつはかってください」
 石はたくさんありますが、少しずつならどんなはかりでもはかる事が出来ます。
 みんなは石を少しずつはかりながら、その重さをちょうめんにかきつけていきました。
 「さあ、みんなはかり終わったら、その全部の石のめかたを足してください。それが、あのゾウのめかたです」
 それを聞いて、みんなはおどろきの声をあげました。
 「そうか、なるほど。子どもだとバカにしていたが、これはすっかりやられてしまったよ」
 「まったくだ。本当にたいした子どもだ」
 みんなは子どものちえに感心して、この子どもをほめたたえました。
 おしまい   
 
 
 |