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12月10日の日本の昔話

彦一とえんまさま

彦一とえんまさま
彦一(ひこいち)話 → 彦一について

♪音声配信(html5)
音声 ☆横島小次郎☆

 むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。

 その彦一も年を取っておじいさんになり、とうとう死んでしまいました。
 死んだ彦一が目を覚ますと、目の前に地獄(じごく)のえんまさまがすわっています。
(しまった! ここは、地獄じゃ)
 だけど彦一は、少しもあわてません。
 彦一は死ぬ前に、黒ざとうと、白ざとうと、トウガラシの粉を入れた三段の重箱(じゅうばこ)をひつぎに入れるように言い残したのです。
 彦一は重箱を開けると、中の黒ざとうをおいしそうになめはじめました。
「こら彦一、しんみょうに、おれさまのさばきを受けい。・・・やや、そこで、何をなめているか」
 えんまさまが大目玉でにらみつけると、彦一はニッコリ笑って、
「これは、とてもうまい物です。ちょっとだけ、えんまさまにも差し上げましょう」
と、黒と白のさとうを出しました。
「うむ、すまんの。・・・ふむふむ。なるほど、これは確かにうまい。・・・うん? その下の段には、何が入っておる?」
「では、これもなめてください」
 彦一が差し出したのは、まっ赤なトウガラシの粉です。
 えんまさまはチョイとなめて、すぐに吐き出しました。
「ペッ、ペッ! 何じゃこれは! 口の中が、火事になったようじゃ」
 すると彦一は、とぼけた顔で言いました。
「えんまさま、この赤い粉は、ひと口なめれば辛い物。一度に食べればうまい物です。食べる時は、一度に飲み込まなくてはいけません」
「そうか、では、はやくよこせ」
 えんまさまは重箱いっぱいのトウガラシの粉を、大きな口を開けて一口で飲み込みました。
 するとお腹の中が大火事になり、口や目から火をふきました。
「あちち! これはたまらん! もうたまらん!」
 えんまさまはドタバタあばれると、はだかになって水をかぶりにかけ出しました。
「では、わたしはこのすきに」
 彦一はえんまさまが脱ぎすてた衣に着替えると、外へ飛び出して何も知らない子オニたちに言いました。
「おほん! わたしは、えんま大王であるぞ。天国まで用事があるので、すぐにカゴを用意しろ」
「はっ、ただいま!」
 子オニたちは急いでカゴを用意すると、彦一を天国まではこびました。

 こうして彦一は、天国でのんびり暮らす事が出来たのです。

おしまい

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