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 第 4話
 
  
 ニャンコの鳴き声
 群馬県の民話 → 群馬県情報
 
 ・日本語 ・日本語&中国語
 
  むかしむかし、あるお寺に、和尚(おしょう)さんが一人で住んでいました。ある日、お葬式(そうしき)をすませてもどってくると、雨水をためておいたタライにネズミが一匹落ちて、おぼれそうになっていました。
 「よしよし、いま助けてやるぞ」
 和尚さんはネズミをすくいあげると、ていねいにぬれた体をふいてやり、逃がしてやりました。
 それから何日かして、かわいい娘さんがお寺にきて、
 「子どものお祝いをするから、ごちそうを食べにきてください」
 と、言ったのです。
 和尚さんが娘さんのあとについていくと、なんと大勢の人たちがおもちをついています。
 ♪ニャンコの声は、まだ聞かぬ。
 ♪ドッテン、バッテン
 ♪ドッテン、バッテン
 みんな楽しそうにかけ声をかけるので、和尚さんもおもしろくなり、
 ♪ニャンコが来たぞ
 ♪ニャー、ニャー、ニャー
 と、ネコのまねをしました。
 すると、もちをついていた人たちはいっせいにネズミの姿になって、
 「チュー、チュー」
 と、鳴きながら逃げていきました。
 和尚さんが、はっとして気がつくと、お堂の下にすわっていました。
 「ああ、せっかくのごちそうを食べそこなった」
 和尚さんは、ガッカリしたという事です。
 おしまい   
 
 
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