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第 62話

だまされたオオカミ

だまされたオオカミ
京都府の民話京都府情報

日本語 ・日本語&中国語

 むかしむかし、あるところに、とてもいじわるなオオカミがいました。
(ひまだなー。だれかいじめるやつはいないかなあー)
 川のそばをプラプラ歩いていると、むこうからウサギがやってきました。
「やあ、ウサギどん。おらと一緒に遊ばないか?」
「・・・・・・」
 ウサギがだまって通りすぎようとすると、オオカミはしつこくさそいます。
「川むこうの森に、すてきな花がさいているんだ。とりに行こうよ」
 ウサギはしかたなく、オオカミについていくことにしました。
 オオカミはさっそくかれ木を一本ひろってきて、川の上にかけました。
「さあ、ウサギどんから先にわたりなよ」
「だって、何だかおれそうだよ」
「大丈夫。ぼくだって平気なんだから」
「うん、じゃあ・・・」
 ウサギはこわごわと、かれ木の橋をわたりはじめました。
 ところが、橋のとちゅうまで行くと、
 ポキッ!
 かれ木の橋がおれて、ウサギはあっというまに川におちてしまいました。
「た、たすけてー!」
 ウサギはもがきながら、どんどん流されていきます。
「あははははは。ざまあみろ」
 オオカミは流されるウサギを見て、手をたたいて喜びました。
 でも、川下へ流されたウサギは、うまいぐあいに岩につかまり、やっと川からはいあがることができました。
(オオカミめ! 見ていろよ! 必ずしかえしをしてやるからな!)
 ウサギはオオカミに見つからないよう、こっそり家へ帰りました。
 次の日の朝、オオカミがまだ寝ていると、
「オオカミどん! オオカミどん!」
と、戸をたたく者があります。
「うるさいなあ、だれだよ」
 オオカミが戸を開けてみると、なんとウサギが立っているではありませんか。
「う、うっ、ウサギどん!」
 オオカミはビックリです。
 昨日、たしかに川でおぼれ死んだはずなのですから。
「ま、まさか幽霊(ゆうれい)?」
 すると、ウサギが言いました。
「何をねぼけているんだい。この二本の足が見えないの? そうじゃなく、オオカミどんのおかげで竜宮(りゅうぐう)まで行ってきたんだよ」
「竜宮だって? もしかして、あの竜宮かい?」
 オオカミが、身をのりだしてきました。
「そうさ。あれから川をどんどん流れていって海へついたら、大きなカメさんがやってきて、竜宮へ案内してくれたんだ。きれいな乙姫(おとひめ)さまと一緒にごちそうを食べて、魚たちのおどりも見せてもらった。そりゃ、もう楽しくて楽しくて」
 それを聞くと、オオカミが待ちきれずに言いました。
「おらも、行きたい!」
「そうさ。だからこうやって、知らせに来たんじゃないか」
「ありがとう。でも、おらはおよげないよ」
「大丈夫、このふくろに入って流れていけば、一人でに海へ出られるさ」
「なるほど、そいつはありがたい」
 ウサギはオオカミをつれて、川のそばにいきました。
 それから大きなふくろの口を開けて、オオカミを中に押し込みます。
「ほらほら、まだしっぽが出ている。もっとおくへ」
 オオカミはふくろのおくへもぐって、体をまるくしました。
「そんなら、ふくろの口をとじるよ」
 ウサギはひもで、しっかりと口をとじました。
「苦しくて、息ができないよ」
 オオカミが、ふくろの中から言いましたが、
「なに、大丈夫さ。すぐにカメさんが来てくれるから。じゃあ、乙姫さまに会ったらよろしくね」
 ウサギは、力いっぱいふくろをけりました。
 ふくろはゴロゴロところがり、川の中へどっぷん。
 それから、プカリプカリと流れていきました。
 でもそのうちに、水がしみこんできて、ふくろがしずみはじめました。
「く、く、苦しい。だれか助けて」
 オオカミは、ふくろの中であばれまわりましたが、どうする事もできません。
(しまった、ウサギにだまされたんだ!)
と、思った時には、オオカミは川のそこにしずんでしまい、二度と浮き上がる事ができませんでした。

おしまい

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