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第 129話

蛇の天上のぼり

蛇の天上のぼり
三重県の民話三重県情報

日本語 ・日本語&中国語

 むかしむかし、大きな大きなカキの木があり、カキの実がすずなりになっていました。
 村人たちは、ここを通るたびに見上げては、
「もうそろそろ、カキの実が落ちてくる頃だ。雨でも降れば、すぐに落ちるぞ」
と、言っていました。

 ある日、急にあらしになって、大粒の雨がバラバラと降って来ました。
 村人たちはカキの実をひろおうと、カキの木のところへ行ってみました。
 ところが鈴なりになっているカキが、一つも落ちていないのです。
「おや? あれだけ雨が降ったのに、どうして一つも落ちないのだ?」
 村人たちが不思議に思ってカキの木を見上げると、何と大きな大蛇(だいじゃ)がすずなりになっていたカキの実を、一つまた一つと食べていたのです。
 やがて大蛇は全てのカキの実を食べてしまうと、そのまま天へとのぼりはじめました。
 さすがの大蛇もカキを食いすぎたのか、お腹をゴロゴロならしています。
 しばらくして大蛇の姿が見えなくなると、ふたたび大粒の雨が降って来ました。
 しかしその雨からは、カキの甘いにおいがします。
「ややっ、この雨は、天にのぼった大蛇のおしっこだ!」
 村人たちはあわてて、逃げていきました。

おしまい

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