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第 136話
熱くなる銀の杖
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昔々、鵜戸神宮には、色々な御神宝(しんぽう)がありましたが、その中に『銀の杖』があり、最も大切な宝物として大切にしまわれていました。
ところが、この銀の杖が一人の泥棒に目をつけられてしまいました。
泥棒は「ひっひっひ。銀の杖を盗んで売り飛ばして大金儲けだ。」と、ある晩、こっそりと忍び込み、銀の杖を盗みました。
そして、盗んだことがばれないように、それを布で巻き、着物と背中の間に固く結びつけると急いで逃げ始めました。
すると、社殿(しゃでん)を出たところで、背中の銀の杖から変な光が輝き始め、やがてだんだんと熱くなってきました。
泥棒は、しばらく我慢していましたが、次第に我慢できない程熱くなってきました。
余りの熱さに、取り外そうとしましたが、固く結びつけておいたので、どうしても取り外すことができません。
仕方なく海の水で冷やそうと、海に向かって走っていきましたが、銀の杖はますます熱くなってきました。
「熱い!あちー!こりゃたまらん!!」
広い砂浜の上で大声をあげながら、泥棒は、その時、はっと気づきました。
「きっと神様の罰が当たったのだ!早く元の所へ返そう!!」
泥棒は、今度は一目散に社殿に向かって走り始めると、光も熱もだんだん薄れ、社殿に着く頃にはすっかり消え失せていました。
背中の銀の杖も今度は取り外すことができました。
こうして、銀の杖は再び元の場所に収められました。
その後、その泥棒は、心を改め、出家して仏の道に入り、安らかな人生を送ったということです。
おしまい
お話の投稿者 山本寛子
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