
  福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 5月の日本昔話 > さんぽするひとだま
5月27日の日本の昔話
  
  
  
  さんぽするひとだま
 あるばんおそく、さむらいがお城の仕事をおえて、屋敷へ帰っていく途中の出来事です。
   まっ暗やみの道を、いそぎ足で歩いていくと、急にせすじがさむくなりました。
   ふと前を見ると、なんと、フワフワとひとだま(→詳細)が飛んでいるのです。
  「ややっ、これはきみょうな」
   さむらいは刀を抜くと、そのひとだまを追いかけていきました。
   ひとだまはマツの木のあるへいを、フワッとこえて、家に入りこんでしまいました。
   さむらいがへいの中をのぞくと、ねぼけ顔のおじいさんがからだをおこして、
  「ばあさんや。わしはいま、ゆめをみていた。町をさんぽしていたら、さむらいにおいかけられたので、にげかえってきたゆめだ」
  と、はなしています。
   さむらいはそれをきいて、ビックリしました。
   としをとると、夢を見ている間に、たましいが抜け出すと聞いたことがあるからです。
  (わしも、としをとったら、きをつけねば)
   さむらいは、急いで家に帰りました。
おしまい