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9月12日の日本の昔話
へっこきよめさん
むかしむかし、村の息子がお嫁さんをもらいました。
働き者でかわいいお嫁さんなので、息子もおかあさんも大喜びです。
ところがそのうち、お嫁さんの元気がだんだんなくなってきました。
心配したおかあさんがたずねてみると、およめさんははずかしそうに言いました。
「へをがまんしていて、おなかが痛いのです」
「へ? なんだ、そんなことなら遠慮(えんりょ)しないで、さあ、おやり」
するとお嫁さんは、着物をサッとまくって言いました。
「では、いきます」
ブッホーーーーン!
「ヒャアアアー! 助けて!」
へのいきおいで、おかあさんは吹っ飛ばされてしまいました。
怒ったおかあさんは、息子に言いました。
「こんな嫁は、かえしておしまい!」
そこでしかたなく、息子はお嫁さんを家まで送ることにしました。
途中の山道で、カキの実を取っている旅人がいました。
でも、カキの実は高いところにあって、手がとどきません。
「それなら、わたしにまかせて」
お嫁さんは着物をまくってお尻をカキの木に向けると。
「では、いきますよ」
ブッホーーーーン!
カキの木はユラユラゆれて、カキの実がたくさん落ちてきました。
喜んだ旅人は、お礼にたくさんのお金をくれました。
「こんなに役に立つ嫁さんは、返すのはもったいない」
むすこはお嫁さんをつれて、また村に帰りました。
そして、お嫁さんが遠慮なしに、へが出来るところを作ってやりました。
それが、「へや」の始まりだそうです。
おしまい