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3月15日のイソップ童話
  
  
  
オオカミと子ヒツジ
    川で水を飲んでいる子ヒツジをみつけたオオカミが、なにかいいがかりをつけて、食い殺してやろうと考えました。
    そこで、自分は川上にいるのに、
  「おい、おまえがそこで水をにごらせているから、おれは水が飲めないじゃないか」
  と、どなりました。
  「でも、ぼくは、舌の先でなめているだけですよ。それに、ぼくのほうが川下にいるのですもの、川上の水をにごらせることなんて、できませんよ」
    オオカミは「しまった」と思ったので、
  「しかし、去年、おまえはおれのおやじに、恥をかかせたぞ」
  「ぼく、去年なんて、まだ生まれてもいませんでした」
    またやりかえされたオオカミは、
  「いくらつべこべいいわけしても、だめだ。とにかく、おれはおまえを食ってやる」
  
    この話は、なにがなんでも悪いことをしようときめた人には、どんなにただしいいいぶんもききめがない、ということをおしえています。
おしまい