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5月29日のイソップ童話
  
  
  
こどもとカラス
    ある母親が、まだごくおさない息子のことを占い師にうらなってもらいました。
  「このこどもは、カラスに殺されるでしょう」
  と、占い師はいいました。
    びっくりした母親は、こどもがカラスに殺されないように、とくべつな箱をつくらせて、その中にとじこめてしまいました。
    そして毎日決まった時間に、箱のふたをあけて、食べ物を入れてやりました。
    ところがある日、母親がふたをあけてまた閉めようとしたとき、こどもがうっかり頭を箱の外につきだしました。
    とたんに、
  「ガツン!」とふたが落ちてきて、
    そこについていた錠前が頭にぶつかったので、こどもは死んでしまいました。
    その錠前は、カラス錠と呼ばれる錠前でした。
  
    この話は、あさはかな考えでは、そうかんたんに運命は変えられないという話です。
おしまい