
  福娘童話集 > きょうのイソップ童話 > 9月のイソップ童話 > ヘラクレスとアテネ
9月26日のイソップ童話
  
  
  
ヘラクレスとアテネ
    怪物退治で有名な英雄のヘラクレスが、あるとき、せまい道を歩いていました。
    見ると、地面にリンゴみたいなものが落ちています。
    ヘラクレスは、それを踏みつけました。
    すると、リンゴみたいなものは、二倍の大きさにふくれあがりました。
  「あれれ、へんてこだな」
  と、ヘラクレスはさっきよりも強く、ぐいっと踏みつけて、そのうえ、持っていたこん棒でたたきました。
    ところが、リンゴみたいだったものは、かえってどんどんふくれあがって、道をふさぐほど大きくなってしまいました。
    ヘラクレスはたまげて、こん棒も放り出して、そこにつっ立ってしまいました。
    このとき、アテネ(→詳細)の女神がヘラクレスの前にあらわれて、
  「おやめなさい、ヘラクレスさん。これは、ケンカのおばけなのですよ。かまわずにほうっておけば、もとのまんまの大きさでいるのですが、つついたり、踏んだりすると、このとおり、どんどんふくれあがってしまうのです」
  
  あらそいやケンカは、はじめはたいしたことでなくても、しまいには、たいへん大きくておそろしいものになるものだと、この話はおしえています。
おしまい