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1月7日の小話
キツネつき
   むかしむかし、キツネが、人に取りついて、よくいたずらをしたものでした。
   ある店のこぞうさんにキツネがついてしまい、こぞうさんは、わけのわからぬことをいったり、したりしました。
   お店の主人はこまって、神主(かんぬし→神社に勤める神職の長)さんにおはらいをしてもらったり、お坊さんにお経をあげてもらったりして、ようやく、こぞうさんに取りついていたキツネを追い出しました。
   ところが、キツネを追い出したのに、こぞうさんは、まだ、ぼんやりしています。
   主人は腹を立てて、
  「おまえは、キツネがついてから、ひどいアホになったな」
  と、いうと、とりついていたキツネが窓からひょいと顔を出し、
「あたしのせいじゃありませんよ。それは、もとからです」
おしまい