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4月20日の小話
しゃっくりざむらい
   さむらいが、住吉神社(すみよしじんじゃ→大阪の住吉)の参道(さんどう→神社に参拝するためにつくられた道)で、しゃっくりが出て、とまらずに、こまっておりました。
  「だれか、しゃっくりをとめてくれぬかのう。礼はするのだが」
   すると、道ばたにねていたこじき(→詳細)が、むくむくとおきあがり、いきなり、
  「おのれ、親のかたき、かくごしろ!」
  と、竹のぼうをふりまわしてきました。
  「おいおい! せっしゃ、親のかたきなどといわれるおぼえはない。あわてるな」
   すると、こじきは、きゅうに声をやわらげて、
  「おさむらいさま。しゃっくりは、とまりましたか?」
  「うむ、とまった、とまった」
「では、お礼に、一文(三十円)くださりませ」
おしまい