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5月11日の小話
なまけ者
  「おまえは、『きらいなものは何もない』と、みんなに、じまんしていっているそうだが、でも、何か一つくらいはあるだろう?」
  「いやいや、それが、ぜんぜんないのさ」
  「いや、そんなはずはないとおもうよ。だれにだって一つや二つはあるのだから、おまえにだって、きっとあるとおもうがな」
  「そうかな? 何かあったかな? うーん。・・・おっ! 一つだけあったぞ!」
  「それみろ、やっぱりあっただろう。それで、そのきらいなものとはいったい何だね?」
「はたらくことが、大きらいなのさ」
おしまい