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11月25日の世界の昔話
  
  
  
  オンドリと風
  ポーランドの昔話 → ポーランドの国情報
 むかしむかし、風さんの子どもが、なくなってしまいました。
   かわいい息子をなくした風さんは、ガックリと力をおとし、くる日もくる日も、悲しみにくれていました。
   すっかり元気をなくしてしまった風さんは、それから七年間、ふくことをわすれてしまいました。
   風がふかない七年ものあいだに、クモが世界じゅうをおおってしまうほど、大きな大きな巣をつくってしまいました。
   水も流れなくなりました。
   ウシやウマやニワトリたちも、息苦しくて、バタバタとたおれてしまいました。
  「風がふかないと、たいへんなことになる。なんとか風さんに、むかしのように元気になってもらわなければ」
   みんなそう考えましたが、悲しみにくれている風さんをなぐさめることは、だれもできませんでした。
   ある日、オンドリがやってきました。
  「やあ、風さん、いつまで悲しんでいるんだい。クヨクヨするのはおやめよ。ぼくの子どもは、毎日たくさん生まれてくるけれど、すぐにいなくなってしまうんだよ。でも、ぼくはいつも元気にしているよ。どんなに元気にしているか、見てごらん」
   こういうと、オンドリはかべの上にとびあがって、
  「コケコッコー!」
  と、大きな声をはり上げました。
   風さんは、思わずわらいだしました。
   そのしゅんかん、たちまち木の葉がサラサラとゆれはじめ、花はニッコリひらいて、あまいかおりがし始めました。
   空気もとてもいいにおいです。
   こうして風は、むかしと同じようにソヨソヨとふきはじめました。
おしまい