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        福娘童話集 >節句特集 > ヨモギとショウブ 
         
      せっくのお話し 第 5 話 
       
        
       
ヨモギとショウブ 
端午の節句の昔話 
     
    ※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先 
    
     
    制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】 
      
       むかしむかし、ある若い猟師が狩りに行くと、突然鬼が襲いかかって来ました。 
「うまそうな人間だ。かくごしろよ」 
 猟師はすぐに鉄砲を構えると、 
 ズドーン! 
 ズドーン! 
と、鉄砲の玉を鬼に撃ち込んだのですが、鬼は撃たれても平気な顔をしています。 
「わっははははは。そんな物が、このおれさまに通用するものか」 
 猟師は鉄砲を放り投げると、一目散に逃げ出しました。 
「待てー! 逃がさぬぞー!」 
 鬼は猟師を追いかけましたが、猟師があわててヨモギの原っぱに逃げ込むと、鬼はそれを見て立ち止まりました。 
「火じゃ、火が燃えておるぞ!」 
 ヨモギの葉っぱが炎の形に似ていたので、鬼は勘違いをしたのです。 
 
 何とか助かった猟師ですが、しかしいつまでもここに隠れているわけにはいきません。 
 猟師はヨモギの原っぱから抜け出すと、そのまま一目散に逃げ出しましたが、でもすぐに見つかってしまい、鬼が再び追いかけて来ました。 
「待てー! おとなしく食われろー!」 
 そして鬼に捕まれそうになった時、猟師は菖蒲(しょうぶ)の茂みに飛び込んだのです。 
 すると鬼は、またも立ち止まって、 
「剣じゃ! 地面から剣が生えているぞ! しかし、あいつはなぜ平気なんじゃ?!」 
と、菖蒲の茂みに近づいては来ませんでした。 
 菖蒲の葉っぱが剣の形に似ていたので、鬼は勘違いをしたのです。 
 そこで猟師が菖蒲の葉を持って茂みの外へ出て来ると、鬼は、 
「剣が、剣が歩いてくるー!」 
と、震えながら逃げて行きました。 
 
 その日がちょうど五月五日だったので、今でも五月五日の端午(たんご)の節句(せっく)には、魔除けとしてヨモギと菖蒲を軒先に吊す様になったのです。 
         
         
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