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クリスマス・おおみそかのお話し 第 6 話

マッチ売りの少女

マッチ売りの少女
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マッチ売りの少女のぬりえ

♪音声配信(html5)
朗読者 : せりーぬ

♪音声配信(html5)
朗読者 : 柏山きな子

 むかしむかし、雪の降りしきる大みそかの晩。
 みすぼらしい服を着たマッチ売りの少女が、寒さにふるえながら一生懸命通る人によびかけていました。
「マッチは、いかが。マッチは、いかがですか。誰か、マッチを買ってください」
 でも、誰も立ち止まってくれません。
「お願い、一本でもいいんです。誰か、マッチを買ってください」
 今日はまだ、一本も売れていません。
 場所を変えようと、少女が歩きはじめた時です。
 目の前を一台の馬車(ばしゃ)が、走りぬけました。
 危ない!
 少女はあわててよけようとして雪の上に転んでしまい、そのはずみにくつを飛ばしてしまいました。
 お母さんのお古のくつで少女の足には大きすぎましたが、少女の持っているたった1つのくつなのです。
 少女はあちらこちら探しましたが、どうしても見つかりません。
 しかたなく、はだしのままで歩き出しました。

 冷たい雪の上を行くうちに、少女の足はぶどう色に変わっていきました。
 しばらく行くと、どこからか肉を焼くにおいがしてきました。
「ああ、いいにおい。・・・お腹がすいたなあー」
 でも少女は、帰ろうとしません。
 マッチが一本も売れないまま家に帰っても、お父さんはけっして家に入れてくれません。
 それどころか、
「この、役立たずめ!」
と、ひどくぶたれるのです。
 少女は寒さをさけるために、家と家との間に入ってしゃがみこみました。
 それでも、じんじんとこごえそうです。
「そうだわ、マッチをすって暖まろう」
 そう言って、一本のマッチを壁にすりつけました。
 シュッ。
 マッチの火は、とても暖かでした。
 少女はいつの間にか、勢いよく燃えるストーブの前にすわっているような気がしました。
「なんて、暖かいんだろう。・・・ああ、いい気持ち」
 少女がストーブに手をのばそうとしたとたん、マッチの火は消えて、ストーブもかき消すようになくなってしまいました。
 少女はまた、マッチをすってみました。
 あたりは、ぱあーっと明るくなり、光が壁をてらすと、まるで部屋の中にいるような気持ちになりました。
 部屋の中のテーブルには、ごちそうが並んでいます。
 不思議な事に湯気をたてたガチョウの丸焼きが、少女の方へ近づいて来るのです。
「うわっ、おいしそう」
 その時、すうっとマッチの火が消え、ごちそうも部屋も、あっという間になくなってしまいました。
 少女はがっかりして、もう一度マッチをすりました。
 すると、どうでしょう。
 光の中に、大きなクリスマスツリーが浮かびあがっていました。
 枝には数え切れないくらい、たくさんのロウソクが輝いています。
 思わず少女が近づくと、ツリーはふわっとなくなってしまいました。
 また、マッチの火が消えたのです。
 けれどもロウソクの光は消えずに、ゆっくりと空高くのぼっていきました。
 そしてそれが次々に、星になったのです。
 やがてその星の一つが、長い光の尾を引いて落ちてきました。
「あっ、今、誰かが死んだんだわ」
 少女は、死んだおばあさんの言葉を覚えていました。
『星が一つ落ちる時、一つのたましいが神さまのところへのぼっていくんだよ』
 少女は、やさしかったおばあさんの事を思い出しました。
「ああ、おばあさんに会いたいなー」
 少女はまた、マッチをすりました。
 ぱあーっとあたりが明るくなり、その光の中で大好きなおばあさんがほほえんでいました。
「おばあさん、わたしも連れてって。火が消えるといなくなるなんて、いやよ。・・・わたし、どこにも行くところがないの」
 少女はそう言いながら、残っているマッチを一本、また一本と、どんどん燃やし続けました。
 おばあさんは、そっとやさしく少女を抱きあげてくれました。
「わあーっ、おばあさんの体は、とっても暖かい」
 やがて二人は光に包まれて、空高くのぼっていきました。

マッチ売りの少女とおばあさん

 新年の朝、少女はほほえみながら死んでいました。
 集まった町の人々は、
「かわいそうに、マッチを燃やして暖まろうとしていたんだね」
と、言いました。
 少女がマッチの火でおばあさんに会い、天国へのぼった事など、誰も知りませんでした。

おしまい

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