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2008年 5月4日の新作昔話
かじかと、どじょうと、金魚
江戸小話 → 江戸小話とは?
あるとき、かじかと、どじょうと、金魚が顔をあわせました。
「やあ、久しぶりだな。たまには三人して、酒でも飲もうか」
「うん、そりゃあいい」
そこで三人は、酒屋ののれんをくぐりました。
二杯、三杯と飲みすすむうちに、金魚が赤い顔で聞きました。
「ところで、ここの勘定は、だれが払うんだ?」
「だれって、金魚どんが払うんじゃ、ねえのか? おら、一文も持ってねえ」
どじょうがそう言うと、かじかもあわてて言いました。
「おらも一文なしだ。どうする?」
「みんな一文なしだとなると、ここは何とかして逃げ出さねばなんねえ。・・・そうだ。こうしたらどうだ?」
金魚は店のすみで、かじかとどじょうに相談しました。
「なるほど。よし、その手でいこう」
相談をまとめると、まずかじかが、
「あれっ、かじか(→火事か)?」
と、酒屋を飛び出しました。
すると、どじょうが、
「どじょ(→どこ)だ、どじょ(→どこ)だ?」
と、かじかの後を追って、飛び出しました。
続いて金魚も、飛び出して、
「あっ、きんぎょ(→近所)だ、きんぎょ(→近所)だ!」
と、大きな声で騒ぎました。
「なにっ、近所が火事だと!」
酒屋は商売どころではなく、あわてて外へ飛び出していきました。
かじかと、どじょうと、金魚は、
「それっ、いまのうちだ」
と、一目散に、逃げ出したそうです。
おしまい
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