福娘童話集 > 新作の紹介 福娘童話集 きょうの新作昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
福娘童話集 > きょうの新作昔話 > 幽霊の子守り ドイツの昔話
     5月15日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
ヨーグルトの日
きょうの誕生花
カーネーション
きょうの誕生日・出来事
1982年 藤原竜也 (俳優)
  5月15日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
鉢かづき姫
きょうの世界昔話
竹になった娘
きょうの日本民話
テングになった太郎坊
きょうのイソップ童話
ライオンに恩返しをしたネズミ
きょうの江戸小話
しらみ
広告
 


2008年 5月15日の新作昔話

幽霊の子守り

幽霊の子守り
ドイツの昔話ドイツの情報

 これは、十八世紀の終わりごろのお話です。
 ドイツのある町の鍛冶屋のケックさんの家には、幽霊(ゆうれい)が出るといううわさがたちました。
 夜中の十二時頃になると、片方の手に大きなカギの束(たば)を、もう一方の手にはロウソクをともした燭台(しょくだい)を持って、どこからともなく現れるのです。
 白いドレスのすそをひきずって、家の中をスーッと音もなく通りぬけ、ときどき月の光のように白くかがやいて部屋をてらすこともあることから、人々はその幽霊を『白い女』とよんでいるのでした。
 ちょうどケックさんの家のあたりは、むかし小さなお城があったところです。
 その城では大きなホールが事故でくずれおちて、たくさんの人が生きうめになったという言い伝えがあり、そのときのたましいがまだ残っていて、ときどき動き回っているのです。
 さて、ケックさんと奥さんのアグネスさんに、十番目の子どもがうまれて、カテリーナと名づけられました。
 ある晩のこと、ケックさん夫婦は何か気配を感じて目をさましました。
 くらい部屋を、かすかに白い光がよこぎっていきます。
「だれかいるわ」
「白い女だ。カテリーナのゆりかごのところだ」
「まあ、なんてこと!」
 お母さんは娘のところにとんでいこうとしたのですが、おそろしさのあまり体がガタガタとふるえて、一歩も動くことが出来ません。
「大丈夫、こわがらないで」
 お父さんはカテリーナをビックリさせてはいけないと、少しはなれたところからしずかに見守っていました。
 白い女は、やさしくゆりかごをゆすっています。
 カテリーナは気持ちよさそうに、スヤスヤとねむっていました。
「この子は十二月三日に生まれた。心配ないさ」
「そうね。クリスマスシーズンに生まれた子は、幽霊に出会うっていうわね」
 ケックさん夫婦は安心して、白い女に子守りをまかせてねむりにつきました。
 それから毎晩のように、白い女はカテリーナがむずかったり、泣き出したりするとすぐにやってきて、ゆりかごをゆすったり、だっこして歩きまわったりと、うまくあやしてくれたのです。
 それは、二年ほど続きました。
 おかげでカテリーナはスクスクと元気に育ち、暗闇をまったくこわがらない子になりました。
 カテリーナが大きくなると、家の人たちはよく幽霊の話をしてきかせます。
「白い女がゆりかごをゆすってくれたのよ」
「まあ、会ってみたいわ」
 カテリーナは夜になると、幽霊が現れないかとたのしみに待っていましたが、大きく成長したカテリーナの前に、白い女が姿を現すことはありませんでした。

おしまい

ページを戻る

新作の紹介メニュー

福娘童話集

新作の紹介
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
女の子応援サイト さくら
職業紹介・誕生日占い・おまじないなど
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識