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福娘童話集 > きょうの新作昔話 > 真夜中のキツネの嫁入り 
      2008年 11月20日の新作昔話 
          
          
         
  真夜中のキツネの嫁入り 
  東京都の民話 → 東京都情報 
       むかしむかし、江戸にある大きな川の渡し舟小屋へ、一人の侍がやってきました。 
         侍は、大きな屋敷からきた使いだと言って、 
        「今夜、お屋敷の姫が、川むこうの町にあるお屋敷へ嫁入りされる。おつきの者たちは、百名を超えるであろう。この川の渡し舟を残らずここに集めて、待っていてほしい。とりあえず、ここに小判十枚をつつんでおいたが、舟賃はあとで、たくさんのご祝儀と一緒に出すつもりである」 
        と、渡し舟の用意を頼むと、帰っていきました。 
        「こりゃ、大仕事だぞ!」 
         渡し舟の船頭の親方は大喜びで、すぐに仲間たちの舟を渡し場に集めました。 
         そしてその夜、ちょうちんの灯をいくつもつらねて、たくさんの侍たちに見まもられながら、お姫さまのかごがやってきました。 
         船頭たちは、行列をうやうやしく出むかえました。 
         そして失礼のないように、一人一人を舟に案内して、ゆっくりと夜の川をわたっていきました。 
         むこう岸に着くと、行列の人たちはほとんど話もせずに、すいこまれていくように夜の闇の中に消えていきました。 
         さて、次の日の朝のことです。 
         船頭の親方は昨日受け取っていたお金を、とりあえず仲間たちにわけておこうと思いました。 
         ところが、神棚の上にのせておいた小判が入った包み紙を手にとって、思わず大声をあげました。 
        「なっ! なんだ、これは!」 
         なんと中に入っていたのは、十枚の葉っぱだったのです。 
        「ちくしょう! キツネのやつ、派手にやってくれやがったな!」 
       むかしは、こんな話がよくあったそうです。 
      おしまい 
         
          
         
        
       
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