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福娘童話集 > きょうの新作昔話 >大きな玉のサルと、ネコと、犬と、ニワトリ
2010年 2月5日の新作昔話
大きな玉のサルと、ネコと、犬と、ニワトリ
福岡県の民話 → 福岡県の情報
むかしむかし、大きな松の木の上に、一匹のサルがいました。
(ああ、たいくつだな。何か、楽しい事はないかな?)
サルがぼんやりと遠くをながめていたら、山の方から大きな玉が転がってきて、
ドスン!
と、松の木にぶつかって止まりました。
「なんだ? なんだ?」
サルが上からのぞいてみると、玉には丸い穴が開いています。
サルは玉の上に飛び降りると、穴の中へ入ってみました。
すると玉が、コロコロと転がり出したのです。
「助けてー。目が回るよー。ウキー、ウキー!」
玉に入ったサルは、ウキー、ウキーと泣きながら転がっていきました。
すると、向こうからネコがやってきました。
ドスン!
玉は、ネコに当たって止まりました。
「こら! 何をするんだ!」
はね飛ばされたネコが、立ちあがってどなりました。
すると玉の中から、
「ウキー、ウキー」
と、鳴き声が聞こえます。
ネコがびっくりして穴をのぞいてみると、目が回ったサルが倒れていました。
「どうした? 大丈夫かい?」
ネコが心配して穴に入ったとたん、玉がコロコロと転がりました。
「助けてー。目が回るよー。ニャア、ニャア」
サルとネコが
ウキー、ウキー、ニャア、ニャア
と、泣きながら転がっていきました。
すると向こうから、犬がやってきました。
ドスン!
玉は犬に当たって止まりました。
「こら! 何をするんだ!」
はね飛ばされた犬が、立ちあがってどなりました。
すると玉の中から、
「ウキー、ウキー、ニャア、ニャア」
と、泣き声が聞こえます。
犬がびっくりして穴をのぞいてみると、中ではサルとネコが目を回して倒れていました。
「おい。大丈夫かい?」
犬が心配して穴へ入ったとたん、玉がコロコロ転がりました。
「助けてー! 目が回るよー。ワン、ワン」
サルとネコと犬が、ウキー、ウキー、ニャア、ニャア、ワン、ワンと泣きながら転がっていきました。
すると向こうから、ニワトリがやってきました。
ドスン!
玉は、ニワトリに当たって止まりました。
「こら! 何をする!」
はね飛ばされたニワトリが、立ちあがってどなりました。
すると玉の中から、
「ウキー、ウキー、ニャア、ニャア、ワン、ワン」
と、泣き声が聞こえます。
ニワトリがびっくりして穴をのぞいてみると、サルとネコと犬が目を回して倒れています。
「おい、大丈夫かい?」
ニワトリが穴へ入ったとたん、玉が転がりました。
「助けてー! 目が回るよー。コケコッコー」
サルとネコと犬とニワトリが、ウキー、ウキー、ニャア、ニャア、ワン、ワン、コケコッコーと泣きながら転がっていきました。
玉は、どんどんどんどん転がって、海辺の大きな岩にぶつかりました。
ドッカーン!
そのとたんに玉がパカリと割れて、中から目を回したサルと、ネコと、犬と、ニワトリが飛び出してきました。
おしまい
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