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福娘童話集 > きょうの新作昔話 >なぞとき婿さん
2014年 4月25日の新作昔話
なぞとき婿さん
むかしむかし、年頃の美しい娘を持つ長者がいました。
娘の美しさは近くの村々でも評判で、
「嫁に来ては、くれないだろうか」
「どうか、息子の嫁に」
と、結婚の話が毎日の様に持ち込まれてきました。
けれど長者は、大切な一人娘を遠くの家へお嫁にやりたくはありません。
そこでこの家に婿として来てくれるかしこい男を見つけようと、家の門に一わのわらたばをぶら下げて、こんな立て札を出しました。
《手も足も使わないで、このわらたばを十六わにする事。このなぞときが出来た者を娘の婿に迎える》
さあ、そのなぞときの立て札を見て、大勢の若者たちが長者の家にやってきました。
「なぞをといて、婿さんになろう」
ところが誰一人、なぞがとけません。
「うーん。手も足も使わずに、一わのわらを十六わにしろなんて、とうてい無理だ」
みんなはあきらめて、帰っていきます。
「こんななぞときも出来ぬとは、みんな知恵がないのう。娘の婿にふさわしい男はおらんのか」
長者があきらめかけた頃、となり村の若者がやってきて礼儀正しく言いました。
「そのなぞ、どうかわたしにとかせてください」
着ている着物はそまつですが、なかなかかしこそうな若者です。
「ほう、とけるかな。やってみなされ」
「はい、ではいきます。
まずは、門の中には庭(二わ)があります。
土蔵(どぞう)の横には、クワ(九わ)が、あります。
長者さまのお顔には、しわ(四わ)が、あります。
そして、門にある一わを合わせると、全部で十六わです」
「おおっ、見事、見事じゃ!」
長者も娘も、かしこいお婿さんが現れて大喜びです。
そしてすぐに結婚式が行われ、長者は美しい娘とかしこい婿と一緒に幸せに暮らしました。
おしまい
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