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3月31日の日本の昔話
百七十歳の九尾キツネ
百七歲个九尾狐狸
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あるお寺の小僧さんにキツネが取りついて、突然こんな事を口走りました。
頭擺頭擺,有間寺廟个細沙彌揇等个一條狐狸,忽然間毋堵好講出來:
「わしは、この寺の境内に住んでおるキツネじゃ。
「𠊎呀,係戴這廟區个狐狸,
この間、旅に出てある村の庭先にいたニワトリを取って食ったところ、村人たちに追われてひどい目にあった。
最近出去旅行,在某庭院頭前偷捉村民个雞仔來食个時節,分村民追。
何とかここまで戻ってきたが、今年で百七十歳になるため、もう体が言う事をきかぬ。
高不將走倒轉來,因為今年百七歲了,身体㜮了毋聼講。
どうか我を神としてまつって、毎日供え物をしてくれぬか」
仰般,摎𠊎當做神明來祭祀,逐日提供供品做得無?」
その話を聞いて、和尚さんは怒り出しました。
聽著該種話,和尚就火著。
「百何十年も前から、この寺の境内に住み着いていると言うが、わしは今までお前の事など聞いた事がない。
「講你一百幾十年前就戴在這廟區,𠊎從來無聽過這事情。
大体、年老いて食べるのに困ったから、毎日食べ物を供えてくれとは、何たるものぐさじゃ。
大体,多歲了討食較困難,但係逐日提供食物分你食,毋會盡麻煩嘎?
すぐに小僧の体から離れて、どこかへ立ち去れ!
黏皮離開細沙彌,走開!
さもなくば、お前をたたき出してやるぞ!」
無斯摎你逐出去哦!」
和尚さんは鉄の棒を持ち出してきて、すごいけんまくです。
和尚拿出一支鐵棍仔,惡桀桀个樣仔。
ところがキツネの方は、落ちつきはらって言いました。
毋過狐狸定貼定貼仔講:
「うそではない。百年以上も前に、我を見たという話を聞いた者が必ずいるはずじゃ。証拠を見せてやるから、年寄りを集めてみよ」
「無講耗漦,百過年前有聽過、看過𠊎个人還有人在,為著分你看證據,請你喊老人家來這集合。」
そこで和尚さんは庄屋をはじめ、村のお年寄りたちをお寺の境内に呼びました。
所以,和尚喊村長摎全村个老人來廟。
そしてキツネの言う証拠を、見せてもらうことにしたのです。
狐狸講个證據拿來分大家看。
「我を神としてあがめ、供え物をしてくれれば、これからのち、火災、干ばつ、病気などの心配はいらぬぞ。それでは、証拠を見せてやろう」
「摎𠊎當做神明來拜,拿兜仔供品分𠊎,從今以後毋使愁會有火災、天旱、瘟疫。𠊎拿証據分大家看。」
キツネはそう言うと小僧さんの体から離れて、九本の尻尾のある正体を見せたのです。
狐狸講煞就離開細沙彌,變轉九尾狐狸个原形分大家看。
するとお年寄りの間から、驚きの声が上がりました。
過後,老人家之間,發出發痴驚个聲音。
「おおっ! これは九尾ギツネじゃ。子どもの頃に聞いた事がある」
「唉哦!這係九尾狐狸。細人仔个時節識聽過。」
そのむかし、村にはこの九本の尻尾を持つ九尾ギツネが住んでいたのです。
頭擺,村莊肚識有九條尾个九尾狐狸戴過。
そこで和尚さんと庄屋さんたち相談をして、お寺の門前にある小山の南側に小さな祠をつくって、この九尾ギツネを神としてあがめる事にしたそうです。
所以,和尚摎村長參詳以後,在廟頭前南片細山,起一隻細祠堂,奉祀九尾狐狸。
おしまい
煞咧
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